いたやどクリニックは神戸市長田区にあり、小児アレルギー・内視鏡検査・在宅医療を特色としています。

いたやどクリニック|神戸医療生協協同組合

アレルギーQ&A

アレルギーについて

Q1.アレルギーって何ですか?

答え

人の身体には、自分と異なる物質(非自己)を体内に受け入れてもよいか、受け入れない方がよいかを、チェックするシステム(免疫システム)が発達しています。
これは、自分にとって不都合なもの(細菌・ウィルスなどの病原体やアレルギー物質など)を、体内に受け入れないようにするための防御システムです。
アレルギーは、環境中に存在する様々な物質に対して、チェックシステムが過剰に働き、身体が過敏になっている状態といえます。

Q2.アレルギーは、増えているのですか?

答え

平成4年度に厚生省が行ったアトピー性疾患実態調査によると、今までに「アレルギー疾患です」と医師にいわれた事がある子どもさんは、乳児6.6%、1才6か月児24.9%、3才児38.9%にのぼります。
そのうち、アトピー性皮膚炎は、乳児6.0%、1才6か月児19.0%、3才児31.2%と、乳幼児期のアレルギー疾患の大部分を占めています。
一方、気管支喘息の罹患率は、3.9~8.2%と、20~30年前の5~10倍に増加しています。 ダニに対する特異的IgE抗体の保有率をみますと、1960年代中頃には2~3%、1970年代後半には20%、1990年代前半には40%という統計結果が報告されています。
このように、アレルギーの病気は全人口の40%にも達し、またその予備軍も年々増加傾向にあります。

Q3.アレルギーの原因(抗原=アレルゲン)には、どういうものがありますか?

答え

アレルギーを起こす物質(抗原)には、いろいろなものがあります。
抗原の種類は、体内へ入る経路により、次の4つに分類されます。

食物アレルギー (口や消化管から) そばアレルギー・卵アレルギー・牛乳アレルギーなど
吸入アレルギー (鼻や気管支から) ダニアレルギー・カビアレルギー・花粉アレルギーなど
接触アレルギー (皮膚や粘膜から) うるしアレルギー・ラテックスアレルギー ・ペットアレルギー など
薬物アレルギー ペニシリンアレルギー・ピリンアレルギーなど

しかし実際には一つの物質が、いくつかの違った経路から体内に入り、アレルギー反応を引き起こす事があります。 この他にも、人の身体を取り巻く多くの物質に、強さこそ違え、アレルギーを起こす力があると考えられています。

Q4.アレルギーの症状には、どういうものがありますか?

答え

アレルギー反応の結果、引き起こされる症状には、いろいろなものがあります。
症状が現れる身体の場所の違いにより分類しますと、次のように整理する事が出来ます。

全身症状 アナフィラキシーショック・蕁麻疹
呼吸器症状 気管支喘息・喉頭浮腫
消化器症状 難治性下痢症・ミルク嫌い・臍疝痛
神経症状 偏頭痛・起立性調節障害・アレルギー性緊張弛緩症候群
耳鼻科的症状 アレルギー性鼻炎・滲出性中耳炎
眼科的症状 アレルギー性結膜炎
皮膚科的症状 アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・脂漏性湿疹・アレルギー性紫斑病
泌尿器科的症状 アレルギー性膀胱炎

実際には、一人の人に、いくつもの症状が同時に現れる事があります。

Q5.アレルギーの症状は、どれぐらいの時間で現れますか?

答え

原因となる物質(抗原)と接触(食べたり、吸い込んだり、触ったり)してから、症状が現れるまでの時間は、次のように整理する事ができます。

(1)即時型 数分以内から起こり、遅くとも2時間までに症状が現れます。
(2)遅発型 6~8時間後に、症状が現れます。
(3)遅延型 24~48時間後に、症状が現れます。
(4)二相性 即時型に続き、一度落ち着いてきた症状が、半日後に再び悪化する事があります。

即時型アレルギー反応は、肥満細胞の脱顆粒により引き起こされるアレルギー性炎症です。
一方、非即時型アレルギー反応は、好酸球が主役を演じるアレルギー性炎症です。
このようにアレルギー反応は、様々な免疫担当細胞が、時間とともに次々と反応を起こしていく、連続した生体反応過程です。
そのために,アレルギーを引き起こす原因となる物質(抗原)と接触した時は、急性期をやり過ごした後も、1~2日は安心しないで、子どもさんの様子を観察する事が大切です。

Q6.アレルギーの病気は、一人一人特徴が違うのですね?

答え

アレルギーの病気は、一人一人原因も、現れる症状も、現れ方も違います。
一人一人のアレルギーの特徴を,正確に理解し合うためには、次の3点を診断する事が必要です。

  • アレルギーの原因
  • アレルギーの症状
  • アレルギーの症状の現れ方

例えば
A君は、そばが原因で、すぐにショック症状におちいります。
B子さんは、すぎ花粉が原因で、春先に屋外にでると、すぐに目がかゆくなります。
C君は、イヌの毛が原因で、イヌを飼っているお家に遊びに行くと、しばらくすると喘息の発作がでます。
D君は、ダニが原因で、夜になると体がかゆくなり、アトピー性皮膚炎が悪化します。
このようにアレルギーの病気は、同じ原因からくる場合でも、一人ひとり症状や現れ方も違うために注意が必要です。
自分の経験に基づく善意からの助言であっても、他の人には害をなす事があります。
アレルギーの病気は、医師の診断の基づいて、対処する事が大切です。

アレルギーマーチについて

Q1.アレルギーマーチという言葉を聞いたのですけれども?

答え

小児医療は、「子どもさんの健康・疾患を、子どもさんの身体的・精神的発達に即して理解し、時間的流れの中で、見通しを持って指導にあたる」ことを、基本的な姿勢としてもっています。
この姿勢で、乳幼児期からアトピー性皮膚炎をフォローしていますと、気管支喘息や花粉症に移行していく子どもさんを数多く経験します。 子どもさんを診察する経験から得られた臨床経過を、小児科では「アレルギーマーチ」という言葉でよんでいます。
そして「アレルギーマーチ」の進行を阻止するために、早期介入という立場でアトピー性皮膚炎の治療を試みようと考えています。 「アレルギーマーチ」という言葉には、次の2つの意味のマーチが含まれています。

(1)アレルギーを起こす物質(抗原)の種類のマーチ
アレルギーの原因となる抗原の種類が、年齢とともに、卵白・牛乳・ペット・穀物・ダニ・花粉・果物などと、移り変わっていく臨床経過です。

(2)アレルギー症状の現れ方のマーチ
アレルギー反応の結果、引き起こされる症状が、アトピー性皮膚炎・気管支喘息・花粉症へと、移り変わっていく臨床経過です。 「アレルギーマーチ」は、臓器発達の特異性・抗原被爆量の蓄積効果・免疫応答の年齢的変化などが原因として考えられますが、不明な点が多い臨床経過です。 乳幼児期アトピー性皮膚炎の子どもさんが、みんな「アレルギーマーチ」のコースをたどり、気管支喘息を発症するわけではありません。 しかし、多くの子どもさんが、気管支喘息へと続く「アレルギーマーチ」をたどる事も事実です。
「アレルギーマーチ」という臨床経過を観察するにつけ、乳幼児期アトピー性皮膚炎を、皮膚だけの病気としてとらえるのではなく、免疫失調状態の早期表現型としてとらえ、診断・治療を行う必要に 迫られる事も少なくありません。 全身の免疫機能の健やかな発達を促すために、離乳食指導・防ダニ指導など、早期からの指導に力を入れる事も、小児科医師の重要な役割だと考えています。

Q2.アレルギーマーチへの早期介入とは何ですか?

答え

「アレルギーマーチ」という臨床経過を観察する中で、気管支喘息や食物アナフィラキシーなど、直接生命に危険が及ぶアレルギーの病気への進展を、未然に阻止できないかという課題がおきてきます。 いたやどクリニック小児科では、食事の面・防ダニの面・生活環境の面から、指導を行っています。
食事指導の面では、妊娠・授乳中のお母さんの食事指導、子どもさんの消化機能の発達に合わせた形での離乳食の開始時期と、食材の選択の指導を行っています。 防ダニ指導の面では、寝具の掃除や丸洗い・防ダニ寝具の購入・床面のフローリング化など、乳幼児早期からの指導を行っています。 生活環境の改善指導の面では、ペットの室内飼育禁止・室内喫煙の禁止・暖房器具の選択などの指導を行っています。
乳幼児早期からの生活改善や環境改善の指導を行うと,アレルギー感作の成立を阻止できないまでも、アレルギー症状の軽減につながる事は、多くの子どもさんで経験しています。

食物アレルギーについて

Q1.食物アレルギーって何ですか?

答え

大勢の子どもさんが、普通に食べている食物が、ある子どもさんの身体には良くない事があります。
食物アレルギーは、「アレルギー反応が関与し、食物に対して過敏な症状を起こす病気」をさします。
アレルギーを起こす食物(食物抗原)が口から入ると、消化管粘膜内でアレルギー性炎症反応が起きます。
その結果、消化管の透過性が亢進し、食物抗原の吸収がさらに促進され、皮膚や気管支でアレルギー症状が発現すると考えられています。

Q2.食物アレルギーの症状には、どういうものがありますか?

答え

消化管から吸収された食物抗原は、全身の臓器に運ばれて、そこでアレルギー性炎症を引き起こします。 そのため、食物アレルギーの症状は、身体のどこにでも出現します。
食物アレルギーの症状を 、

  • 一次的な炎症の場である消化管の症状
  • 二次的な炎症の場である全身の症状

とに整理して説明します。

(1)消化管の症状 口腔内アレルギー 症候群(OAS) 消化器の症状
異味感・口唇の発赤・腫脹 難治性下痢症・ミルク嫌い・臍疝痛・消化不良症・口内炎・口臭・便秘・過敏性大腸炎・クローン病・肛門掻痒症
(2)全身の症状 全身症状 アナフィラキシーショック ・蕁麻疹・血管神経性浮腫・貧血・発熱
呼吸器症状 気管支喘息 ・喘息性気管支炎・ 喉頭浮腫
神経症状 偏頭痛・夜驚症・起立性調節障害・アレルギー性緊張弛緩症候群
耳鼻科的症状 アレルギー性鼻炎・滲出性中耳炎
眼科的症状 アレルギー性結膜炎・春季カタル
皮膚科的症状 アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・脂漏性湿疹・アレルギー性紫斑病
泌尿器科的症状 アレルギー性膀胱炎・起立性蛋白尿・頻尿

Q3.食物アレルギー症状の重症度について教えてください

答え

食物アレルギーの症状は、湿疹などの軽微なものから、生命に危険が及ぶものまで、広範囲にわたります。
アナフィラキシーショック ・ 気管支喘息発作 ・ 喉頭浮腫 は、短時間のうちに生命に危険が及ぶ症状です。
重症タイプの食物アレルギーの症状の多くは、症状出現までの時間をみると60分以内と短く、 即時型食物アレルギー に分類する事ができます。
しかし、このような重症タイプの食物アレルギーの存在は、一般的にはあまり知られていません。
一方、アトピー性皮膚炎に代表される生命に直接影響を与えないタイプの食物アレルギーの症状では、症状出現までの時間は比較的長く、 非即時型食物アレルギー に分類する事ができます。
食物アレルギーを理解する時に、原因・現れる症状・出現までの時間・重症度が多彩な疾患であるという認識を持つ事が重要です。
食物アナフィラキシーについて更に詳しく知りたい方は、 【食物アナフィラキシーについて】 をお読み下さい。

Q4.アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとは違うのですか?

答え

アトピー性皮膚炎は、症状から名付けられた病名です。 食物アレルギーは、原因から名付けられた病名です。 この2つの病名は、一人の人の病像を、違った角度から表現したものです。 アトピー性皮膚炎は、皮膚症状の特徴から、名付けられた病名です。 「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。 すなわち、

  • 繰り返し傾向のある
  • 掻痒感が強い
  • アトピー体質のある
  • 湿疹病変

といえます

アトピー性皮膚炎の原因として、

  • 皮膚の脆弱性
  • 免疫の異常
  • 精神的ストレス

が考えられ、これらの原因が組み合わさって出現します。
何がアトピー性皮膚炎の主な原因なのかは、その子どもさんによって異なります。
一般的に、乳幼児期のアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーが関係している事が多く、食事面からの診断・治療が有効な事が多いようです。
食物除去・食物負荷試験に基づく診断では、乳幼児期のアトピー性皮膚炎の60~80%に、食物アレルギーが関係しているという報告もあります。 しかし、アトピー性皮膚炎のすべての子どもたちに、食物アレルギーが関係している訳ではありません。
アトピー性皮膚炎の皮膚の状態が悪いからといって、その子どもさんの免疫異常の程度が、重症だといえない事もあります。
皮膚の状態だけから、免疫異常の程度を類推すると、誤りを侵しかねない事を、知っておく必要があります。
アトピー性皮膚炎の治療は、はじめに、スキンケアや外用療法などを中心に考えるべきでしょう。

一方、食物アレルギーは、全身の免疫異常を引き起こす原因の種類から、名付けられた病名です。
食物アレルギーの症状の一つとして、皮膚にアトピー性皮膚炎が起きる事があります。
食物アレルギーが原因で、アトピー性皮膚炎が起きている場合には、スキンケアに加えて食事療法を実施する事が、治療を行う上で必要になります。
しかし、食物アレルギーの症状として、アトピー性皮膚炎よりも、むしろ食物アナフィラキシーを起こす場合が深刻です。 食物アナフィラキシーを起こす子どもたちは、普段は皮膚には症状が現れていない場合があります。
そのために、「皮膚の症状は改善されているのに、何故、徹底した除去食療法が必要なのか」といった声が聞かれる事もあります。
周囲の大人が、食物アナフィラキシーなどの重症タイプの食物アレルギーを理解できず、誤った対応をする事も少なくありません。
重症タイプの食物アレルギーの治療は、完全除去食療法を中心に考える必要があります。

Q5.食物アレルギーの原因となる食物には、どういうものがありますか?

答え

食物アレルギーを起こしやすい食物として、卵・牛乳・大豆・小麦・米 が代表的な食物といわれています。 これを、五大食物アレルゲンと呼んでいます。
この他にも、ごく普通に食べたり、身体に触れたりしている食物のほとんどが、食物アレルギー症状を起こす可能性 を秘めています。
しかし、食物アレルギーを起こしやすい食物と、食物アナフィラキシーなどの重症タイプのアレルギー症状を起こし やすい食物とは、必ずしも同じではありません。
重症タイプのアレルギー症状を起こしやすい食物としては、次の食物をあげる事ができます。

穀物類 ソバ・小麦
動物性蛋白 牛乳・卵
魚介類 かに・えび・たこ・いか
果物類 キウイ・バナナ・柑橘類
ナッツ類 ピーナッツ・アーモンド
その他 カレー・チョコレート・グミキャディー など

食物アレルギーの診断

Q1.食物アレルギーの診断では、何をはっきりとさせる必要があるのですか?

答え

食物アレルギーの正確な診断は、治療方針を立てる上での基礎になります。
食物アレルギーの診断の要点は、次の5つに整理する事ができます。

(1)食物アレルギー関与の診断 今の症状が食物アレルギーに基づくものか否かの診断
(2)食物抗原の特定 何が食物アレルギーの原因抗原なのかについての診断
(3)症状の種類・程度の予測 どのような症状の出現が予測されるのかについての診断
(4)症状の出現経過の予測 症状はどのような経過で出現する事が予測されるのかについての診断
(5)耐性獲得の確認 食物抗原と考えられていた食物に対して、耐性獲得が成立していないかの診断

Q2.食物アレルギーの診断は、どのように進めていくのですか?

答え

食物アレルギーの診断は、子どもさんの年齢や症状に応じて、子どもさんやご家族の負担の少ない診断方法から、順次進めていきます。
食物アレルギーの診断の進め方を、次の3つの段階に整理します。

StepI (1)現病歴 (発症時のエピソードや症状の種類から、原因を推察する)
(2)既往歴 (以前に経験した症状や、その状況から、原因を推察する)
(3)食生活状況 (好きな献立・嫌いな献立・お菓子の与え方などの食生活習慣から、原因を推察する)
(4)診察 (症状の観察や診察の結果から、原因を推察する)
診断をする上で、子どもさんの症状についての聞き取りが中心になります。 お母さんのていねいな観察記録が必要です。
StepII (1)血液検査 (IgE値・食物関連特異的IgE値・好酸球数・好塩基球数・IgA値・ヒスタミン遊離試験)
(2)便検査 (便中IgE値・好酸球数・便細菌培養・便真菌培養)
(3)皮膚テスト (皮内テスト・プリックテスト・スクラッチテスト・パッチテスト) 
StepIII (1)食物除去試験
(2)食物負荷試験「診断のための食物負荷試験」
(3)食物生活日誌

Q3.食物アレルギーの診断について、もう少し詳しく教えてください。

答え

食物アレルギーの診断は、食物抗原の摂取から、症状が出現するまでの時間で分類すると、理解しやすくなります。 ここでは食物アレルギーを、即時型・非即時型の2つのタイプに分けて説明します。

I:即時型食物アレルギー
蕁麻疹・喉頭浮腫・気管支喘息発作・食物アナフィラキシーショックなどの、即時型食物アレルギーを診断するためには、アレルギー症状発症時のエピソードの聴取・血液検査 (IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体・ヒスタミン遊離試験)・皮膚テストが用いられます。 即時型食物アレルギーは、原因食物抗原の摂取から、症状が出現するまでの時間が短いために、聴取したエピソードから比較的容易に、原因抗原を類推する事ができます。 また、食物関連特異的IgE抗体など、即時型アレルギーを診断するための血液検査も、診断に有用です。
しかし、食物アナフィラキシーショックの出現を避けるために、即時型食物アレルギーを診断する目的で、「診断 のための食物負荷試験」を実施する機会は、多くありません。

II:非即時型食物アレルギー
アトピー性皮膚炎に代表される、非即時型食物アレルギーを診断する事は、容易ではありません。
血液検査として、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体(CAP-RAST値など)を検査する事が普及しています。 しかし、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体の検査は、本来即時型アレルギー反応を調べる検査法です。
そのため、検査結果と、食物除去負荷試験に基づいて診断された非即時型食物アレルギーとの間の相関は、必ずしも良好ではありません。
ある食物を摂取すると、アトピー性皮膚炎が悪化するなど、明らかに食物抗原とアトピー性皮膚炎の関連性が確認されている子どもさんでも、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体が陽性を示さない。 反対に、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体が高値を示すのに、アトピー性皮膚炎の症状がみられない。こういった子どもたちは、稀ではありません。
非即時型食物アレルギーを診断する血液検査として、リンパ球幼弱化反応などがありますが、採血量の多さや検査料の高さなどの理由で普及していません。
アトピー性皮膚炎などの、非即時型食物アレルギーを診断するために、現在のところ食物除去負荷試験が、もっとも正確な方法だと考えられています。

Q4.食物除去試験は、どのように進めるのですか?

答え

食物除去試験は、原因と考えられる食物抗原を、微量な混入まで避けた上で一定期間過ごし、アレルギー症状が改善するかどうかを調べる試験です。 そのためには、お母さんの注意力と根気に加え、栄養士さんの専門的な指導が必要です。

しかし、食物アレルギーの診断を、食物除去試験によるアトピー性皮膚炎の皮膚症状の変化という指標だけに頼る事は、診断上の不十分さを残します。なぜなら、アトピー性皮膚炎の治療は、食物除去試験と平行して、スキンケア・環境整備などの生活指導を同時に行われる事が多く、 アトピー性皮膚炎が軽快したとしても、生活指導が効を奏した結果であり、食物アレルギーは関与していない場合があるからです。

また、当初は食物アレルギーが関与していた子どもさんでも、年齢が大きくなるに伴い、食物耐性を獲得してくる場合が一般的です。 これらの診断上の不十分さを解消するためには、診断のための食物負荷試験を実施する必要があります。 しかし、食物除去試験を行う事により、身体の過敏性が亢進し、非即時型アレルギー反応が、即時型アレルギー反応に移行する事も稀ではありません。その結果、食物アナフィラキシーショックが出現する危険性もあります。

食物負荷試験は、救急時の対応が可能な医療機関で行う必要があります。

Q5.食物生活日誌をつける目的は、何ですか?

答え

食物生活日誌は、お母さんの観察記録を、子どもさんの食物アレルギーの診断に役立てようとするものです。食物生活日誌を記録してもらう中で、次の事がわかります。

  • 微量な食物抗原の混入にまで注意して、除去されているかの確認
  • 除去食療法の効果判定
  • 予測した食物抗原以外の食物抗原の発見
  • 栄養摂取状態の把握
  • 食生活パターンの把握
  • 生活リズムの把握

食物生活日誌は、食生活の記録だけでなく、遊びや生活リズムを記録する事で、 症状の変化の原因を推察し、食物アレルギーの診断を過誤なく行うために鍵となる記録だと考えます。

Q6.食物生活日誌をつける上で、注意する点を教えてください。

答え

食物生活日誌をつける上での注意点を説明します。

I:食物面では、

  • 食事時間を記載する。
  • 子どもさんが口にしたすべての飲食物を記載する。
  • 母乳を与えているお母さんであれば、お母さんが口にしたすべての飲食物を記載する。
  • 加工食品を口にした場合は、加工食品に表示されている成分名を記載する。
  • 使用した調味料も記載する。
  • 魚の場合、天然もの・養殖ものの区別、抱卵の有無についても記載する。

II:生活面では、

  • 起床時間・就寝時間を記載する。
  • 入浴時間・着替えの時間・スキンケアを行った時間を記載する。
  • 母乳を与えているお母さんであれば、お母さんが口にしたすべての飲食物を記載する。
  • 外遊び・外出の時間・出かけた場所を記載する。
  • その日の子どもさんの体調(熱・咳・排便・食欲など)を記載する。
  • 天候についても記載する。

III:症状面では、

  • 皮膚症状(湿潤している部位・発赤している部位・乾燥の強い部位・かゆみの強い部位)を図に記載する。
  • 皮膚以外の症状についても、時間を追って記載する。
  • 症状の変化と原因と考えられる事について、自由に記載する。
  • 外遊び・外出の時間・出かけた場所を記載する。

食物アナフィラキシーについて

Q1.食物アナフィラキシーって何ですか?

答え

アナフィラキシーとは、「アレルギー反応のうち、生命にかかわる急激な全身性の反応」と定義されています。 アナフィラキシーを引き起こす原因のうちで、食物が原因と考えられるものを、食物アナフィラキシーと呼んでいます。

Q2.食物アナフィラキシーの原因となる食物には、どういうものがありますか?

答え

食物アナフィラキシーショックを起こす原因食物としては、

穀物類 ソバ・小麦
動物性蛋白 牛乳・卵・魚
甲殻類 かに・えび・たこ・いか
果物類 キウイ・バナ
ナッツ類 ピーナッツ・アーモンド

などが代表的なものです。 しかし、この他にも、食物アナフィラキシーを起こす可能性がある食物は、いろいろと報告されています。

Q3.食物アレルギーの症状には、どういうものがありますか?

答え

食物アナフィラキシーは、次のような多彩な症状をきたします。

全身の症状 機嫌が悪くなる。落ち着きがなくなる。変わった行動をする。
フラフラする。冷や汗が出る。顔色が青白い、異常に赤い。
おしっこをもらす。倒れてしまう。意識がなくなる。
皮膚の症状 全身がかゆくなる。蕁麻疹が出る。唇が腫れる。
唇が青白くなる。
呼吸器の症状 咳が出る。胸が苦しい。胸が痛い。ゼーゼーという。息苦しい。
循環器の症状 脈が弱くなる。脈が異常に速くなる。脈が乱れる。
消化器の症状 むかむかする。嘔吐する。腹痛を訴える。
目鼻の症状 目が赤くなる。涙が出る。鼻水が出る。くしゃみをする。

食物アナフィラキシーの重篤な症状は、大きく2つに分ける事ができます。

(1) 循環虚脱症状 末梢血管が開き、血圧が低下します。
アナフィラキシーショック 気分が悪くなる。顔色が悪くなる。意識がなくなる。
(2) 気道閉塞症状 気道がつまり、空気の交換ができなくなります。
喉頭浮腫による気道閉塞 変な咳をする(オットセイ様)。声が嗄れる。息苦しい。
気管支喘息発作 湿った咳をする。ゼーゼーという。息苦しい。

このような食物アナフィラキシーが起これば、全身に血液や酸素が回らなくなり、短時間のうちに死に直面します。

蕁麻疹などのように、全身が赤くなるタイプ(赤鬼タイプ)の症状は、まだ生命的には余裕があります。 しかし、顔や身体が青白くなるタイプ(青鬼タイプ)の症状は、生命の危機が迫っているサイン(ショック症状)と考えて下さい。

Q4.食物アナフィラキシーの症状は、どのようにすすむのですか?

答え

アレルギーを起こす食物(食物抗原)に接触した時に、下記の症状が次々に現れます。

(食物アナフィラキシーの前駆症状)
食物を食べた時 食物が身体に付いた時
  • おかしな味がする。
  • 唇や舌の先が腫れる。
  • 喉が痛くなる。おなかが痛くなる。
  • 身体がかゆくなる。蕁麻疹が出る。
  • 気分が悪くなる。
  • 嘔吐する。
  • 息が苦しくなる。
  • 身体に付いた部分。
  • 身体がかゆくなる。蕁麻疹が出る。
  • 気分が悪くなる。
  • 嘔吐する。
  • 息が苦しくなる。

続いて、重篤な症状(食物アナフィラキシー)が起こります。

Q5.食物アナフィラキシーの症状が現れるまで、どれくらいの時間がかかるのですか?

答え

食物抗原と接触してから、食物アナフィラキシーが出現するまでの時間は、その時の状況により違います。

(1)即時型 数分以内から起こり、遅くとも2時間までに症状が現れます。
(2)遅発型 6~8時間後に、症状が現れます。
(3)遅延型 24~48時間後に、症状が現れます。
(4)二相性 即時型に続き、一度落ち着いてきた症状が、半日後に再び悪化する事があります。

食べてはいけない食物を摂取した時には、急性期をやり過ごした後も、1~2日は安心しないで、子どもさんの様子を観察する事が必要です。

Q6.食物アナフィラキシーが起こりやすい時は、どのような時ですか?

答え
  • 食物抗原を摂取してしまった時
    食べてはいけない献立を摂取してしまった時
    食べてはいけない量を摂取してしまった時
    除去献立と、通常の献立を取り違えてしまった時
  • 食物抗原が飛散し、身体に付着してしまった時
    給食当番をしていて献立が飛散して,身体に付着してしまった時
    食事中にまわりの子どもの献立が飛散して,身体に付着してしまった時
  • 子どもの体調が悪い時
    風邪をひいている時
    おなかの調子が悪い時
    疲れている時(睡眠不足・新学期・運動会や音楽会などの行事が続く時)
    アレルギーが悪くなる季節(春・秋の花粉症の季節)
  • 食後にストレスにさらされた時
    食後すぐに運動をした時
    食後すぐに寒さにさらされた時
  • 卵や牛乳の成分から作られている薬剤を服用した時
    卵アレルギー 塩化リゾチーム
    牛乳アレルギー タンニン酸アルブミン・乳酸菌製剤のある種のもの・抗生物質のある種のもの

Q7.食物アナフィラキシーの発症が疑われた時には、どうすればよいのですか?

答え
  • 十分な観察をして下さい。
    子どもさんに異常を認めた時は、症状を軽視しないで、しっかりと様子を観察して下さい。 蕁麻疹などのように、全身が赤くなるタイプ(赤鬼タイプ)の症状は、まだ生命的には余裕があります。
    しかし、顔や身体が青白くなるタイプ(青鬼タイプ)の症状は、生命の危機が迫っているサイン(ショック症状)です。
  • 症状が少しでも進むようであれば、すぐに医療機関に連絡をとるようにして下さい。
    まず119番に連絡を。
    「食物アレルギーでショックが起きています。主治医から、病院にすぐに搬送するように言われています」
    と、 119番にお伝え下さい。
    日頃から救急を受け入れてくれる病院を、できる限り近くで確保しておいて下さい。 症状が軽い時には、医療機関まで連絡をとり、医師の判断を受けて下さい。
  • 救急車が来るまでに(当面の応急処置)
    アナフィラキシーが出現した時に用意された薬(ステロイドなど)があれば、服用させて下さい。
    酸素を十分に取り込むことができるようにして下さい。 呼吸が楽にできるように、ボタンがあればはずし、衣服をはだけて下さい。
    保温にも注意して下さい。身体が冷えないように、はだけた衣服の上から、バスタオルを掛けるなどして下さい。 脳への血流を確保して下さい。身体は水平にして下さい(抱きおこさない事)。足を少し高くすると(30度以上)、身体の中心部に血液を集める事ができます。 可能なら、食べたものを吐かせて下さい。身体に付いた食物や、吐いたものは、きれいにふき取って下さい。
  • 医療機関での質問に備えて
    食べた献立・食べた量・食べた状況・食べた時間・症状の現れ方・症状が現れた時間などを、頭の中で整理しておいて下さい。
  • 医療機関についたら、食物アナフィラキシーショックの可能性がある事を告げて下さい。

Q8.食物アナフィラキシーの出現を避けるためには、何に注意すればよいのですか?

答え
  • 自分勝手に除去しない。食べさせてみない。
  • 食べるといけないものを、医師と相談して、しっかりと把握しておく。 食べるとどういう症状が出るかについても、ある程度知っておく。
  • 食べていけないと分かった食物は、家庭に持ち込まない。
  • アレルギーをおこす食物を、医師との相談なしに食べさせない。 食べて大丈夫かどうか分からない食物を初めて食べる時は、医師の目の前で食べる。
  • 初めて食べる時は、少しずつ口に含み、しっかりとかむ。 おかしな味(苦い、からい等)を訴える時には、口から出させる。 子どもさんが理解できる年齢になれば、食べたあと、不快な症状が出た時の対応について教えておく。
  • 食べる量を増やしていく時には、できる限り体調の良い時に。 できれば平日の午前中に食べさせるようにする。
  • 食べた後、すぐに運動をさせない。寒い所に急に出かけない。
  • 春秋の季節の変わり目には、十分に注意する。
  • まわりの人(祖父母や近所のお母さん)にも、食物アナフィラキシーのことを理解してもらう働きかけをして下さい。
  • 必要な薬は、しっかりと服用させる。
  • 安全に食べる事ができるようになれる方法を、医師と考えていく。
  • 緊急時の対応策を、あらかじめ整理しておく。

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