いたやどクリニックは神戸市長田区にあり、小児アレルギー・内視鏡検査・在宅医療を特色としています。

いたやどクリニック|神戸医療生協協同組合

アレルギーQ&A

基本食について

Q1.基本食とは何ですか?

答え

基本食(健康的な生活を送るための基本的な食事の摂り方)は、身体の過敏な状態を抑え、アレルギーを起こしにくくするために考えられた、食物アレルギー治療の基本をなす食事指導です。 除去食療法を行う前に、基本食の考え方をしっかりと理解しておく必要があります。 基本食を実践する事で、除去食療法の効果も高まります。

Q2.基本食について、もう少し詳しく教えてください。

答え

人は、自らを取り巻く様々な物質を、積極的に外部から取り入れ、または否応なしに受け入れて生活をしています。 そのなかでも食事は、人が生命を維持・増進するための不可欠な生命行為です。
身体を構成する物質のほとんどが、通常は食事という生命行為を通じて、身体に取り込まれます。 摂取する食材の構成成分により、身体構成成分も大きく規定されています。 そのために、人は摂取する食材の質と量に、大きな影響を受けて生きているといえます。
空腹を満たすために窮々としていた時代には、生命を維持するために、利用できる食材を探す事が、 人々の生活の最大の関心事でした。 しかし、社会の生産力が向上するにつれて、食事がもつ生命維持・増進という基本的側面を離れて、 豊かな食生活を享受する事ができるようになりました。 高動物性蛋白質食・高脂肪食・低繊維食が、現在の豊かな食生活の特徴です。
その結果、食事を原因とする様々な生活習慣病が、驚くべき早さで私たちの健康を脅かすようになりました。 食物アレルギーの治療を考える時に、まず現在の豊かな食生活全般を見直す必要があるように思います。
健康的な生活を送るための基本的な食事の摂り方を、基本食と名付け、次の8項目にまとめました。
除去食療法の (1)アレルギー症状の緩和、(2)免疫学的寛容の誘導という目標は、基本食を実践する上に成り立ち、除去 食療法の効果もあがると考えています。
基本食は、食物アレルギーをもつ子どもさんにとっても、食物アレルギーをもたない子どもさんにとっても、 食生活を送る上で基本的な事なので、しっかりと実践するようにして下さい。

  • 一日三度の食事をとり、生体のリズムに合った、則正しい食生活を送る
    人の一日の身体活動は、様々なリズムに支配されています。 夜明け近くなると、交感神経が優位に働きはじめ、体内のホルモン分泌が始まり、体温が上昇し始め、目覚めの準備がされます。 同時に、消化管ホルモンの分泌も高まり、食物を消化・吸収する準備に入ります。
    消化・吸収の準備が整った頃に起床し、朝食を摂る事は、効率良く食物を消化し、未消化な蛋白質の吸収を減らす事ができるため、 食物アレルギーの発生を少なくします。
    日没とともに、副交感神経が優位に働き、体温は下降し始め、眠りの準備がされます。 遅い時間に食物を摂取すると、身体は吸収したカロリーを脂肪組織に蓄積し、肥満の原因となります。 このように、生体の活動・休止リズム、自律神経リズム、内分泌リズム、代謝リズムなどの生体のリズムは、日照リズム(太陽が昇り、太陽が沈む周期)の影響を強く受けています。
    自然な生体リズムにそって食事を摂る事が、食物の消化・吸収の効率を高め、食生活に基づく生活習慣病を減らす事につながります。
    しかし、忙しい現代生活では、大人だけではなく子どもさんも、自然な日照リズム、生体リズムとかけ離れて生活する事が多くなっています。
    起床から朝食までの時間を十分にとれない。そのために、自然な食欲がわかないうちに朝食に向かい、十分な栄養を摂れないままに、 一日の始まりを迎えてしまう。場合によっては、朝食を抜く食生活を過ごしている幼児もみうけられます。 午前中に、十分身体を動かして遊べないうちに昼食を迎えるため、あまり食欲がわかない。 空腹を感じた時に、お菓子やジュースをダラダラと摂り、きっちりとした食事をもてないでいる。 夜遅く、一日の食事の大半を摂り、部屋の中で遅くまで遊んでいる。 そのために、また翌朝の起床時間が遅くなる。 このような不自然な一日を過ごしている子どもさんも、少なくありません。
    人の生体リズムは、本来25時間周期であると考えられています。 人は様々な刺激(同調因子)の力を借りて、体内時計を24時間周期に毎日微調整しています。 体内時計を微調整するために働く同調因子として、次のような刺激があげられます。
    I.日照リズム 昼と夜の明暗のリズム
    II.社会因子 家庭・学校・会社・遊び・勉強・仕事などの刺激
    III.食事
    IV.身体運動
    V.環境 温度・湿度・騒音・振動
    小児期に、しっかりとした生体リズムを確立する事は、身体や精神力を鍛える上で、特に重要です。 生体リズムを確立するためには、一日の始まりである朝の目覚めが鍵となります。 快適な朝の目覚めをもたらすために、次の工夫が考えられています。
    I.毎朝一定の時間に起きる 休日も同じ時間に起きる
    II.朝に日光浴をする 2,500~3,000ルクスの光を浴びる事で、 睡眠ホルモン(メラトニン)分泌を抑える
    III.朝食の工夫をする 蛋白質の少し多い目の食事を摂る 温かい飲食を摂る事で、体温・脳内温度を高める
    IV.身体を温める工夫をする 朝風呂やシャワーを浴びる 乾布摩擦をする事で、交感神経優位にする
    V.できれば早寝をする 入浴はぬる目に 無理に眠ろうとせず、静かに身体を横たえる 夕食は、炭水化物を多い目に摂る
    外が明るくなると自然に目覚め、ひとしきり遊んでから朝食をいただく。
    午前中は十分な外遊びをして、しっかりと昼食をいただく。
    お昼寝の後は、少しおやつをいただいて、夕食までまた遊びにでる。
    思いっきり身体を動かした後は、待ちきれないほどにおなかがすき、しっかりと夕食をいただく。
    お風呂の後は、もうすっかりと眠くなり、眠りの世界に入っていく。
    このような子どもらしい、メリハリのある一日の生活に、少しでも近づけてあげましょう。
  • しっかりと噛んで食べる
    しっかりと噛んで食べる習慣には、次の利点があります。
    • 食べ物を効率よく消化する
    • アレルギー物質・発癌物質を中和する
    • 満腹中枢を速やかに刺激し、過食を防ぐ
    • 記憶力を高める
    • 痴呆を予防する
    • 顎の骨を強める
    • 顔の筋肉を鍛え、表情を若々しくする
    • 虫歯を予防する
    • 味覚神経を敏感にする
    このうち、食物アレルギーと関係するものとして、i. ・ii. をあげる事ができます。
    • しっかりと噛んで食べる事は、食物を細かく砕き、唾液の中に含まれている消化酵素との接触を増し、消化を助けます(口内消化)。 その結果、食物を効率よく消化する事ができ、未消化な食物蛋白質の吸収を減じる事で、 食物アレルギーの発生を少なくする事ができます。
    • 唾液の中には、食物抗原・食品添加物・発癌物質などの、食物中の様々な有害物質を中和する物質 (リゾチーム・IgA)が含まれています。 しっかりと噛んで食べる事は、中和物質を効率よく働かせる事になります。 しかし、忙しい現代では、食事に十分な時間を費やす事も少なくなりました。そのために、食物繊維が少なく、高脂肪の、軟らかくて食べやすい物が好まれるようになり、 しっかりと噛む機会も減ってきました。 その結果、口内消化や唾液に含まれる消化酵素・中和物質の働きが十分に期待できなくなります。 「しっかりと噛んで食べなさい」と注意するだけではなく、食物繊維の豊富な、少し歯ごたえのある食物に慣らしていって下さい。
  • 同じ食材を続けて食べないようにする
    食物アレルギーは、食物抗原の侵入により消化管粘膜でのアレルギー性炎症が惹起され、その結果、消化管透過性が亢進し、 食物抗原の吸収が促進され、全身の臓器(皮膚・気管支・消化管・神経系など)で症状が発現すると考えられています。
    食物アレルギーは、食物に含まれる食物抗原の含有量に応じて、また、食物抗原の炎症惹起力の強さに応じて、消化管粘膜の炎症の程度が決まります。
    一方、食物抗原が侵入しなくなると、自然快復力により、消化管粘膜は数日で(4~5日)修復されます。 消化管粘膜が修復されるまでに、再び食物抗原が侵入すると、粘膜損傷は更に拡大されます。 そして消化管透過性が次第に亢進し、更に微量な食物抗原の侵入も許してしまいます。
    食物アレルギーの予防や治療のためには、悪循環の結果生じる、消化管粘膜の破綻を防ぐ事が大切です。 食物抗原の炎症惹起力(食物抗原度)は、未知な部分が残る概念です。
    • 食物抗原が持つ本来の性質:抗原提示細胞との親和性・肥満細胞の脱顆粒を起こす力など
    • 食品中の食物抗原含有量
    • 調理による食物抗原の変性:加熱や発酵による抗原力の減弱
    • 消化による食物抗原の変性:消化による抗原力の減弱
    食物抗原度が高い食物は、消化管粘膜を損傷する力が強いために、大量に、また続けて摂らない事が大切です。 蛋白質が多く含まれている食材(肉・卵・魚など)は、抗原度の高いものが多いために、食べる回数も、 1品目あたり週に1~2回までにしたいものです(回転食の考え方)。 蛋白質があまり多く含まれていない食材(野菜・主食類など)は、続けて食べても大丈夫な場合が多いようです。
    しかし、アレルギーの強い子どもさんでは、安全とされている食材に対しても、食物アレルギーを起こす事があるので、 3~4日以上続けて摂らないほうが良い場合があります。食物アレルギーの成立は、消化管機能の未熟さと大きく関わっているために、摂取しても大丈夫な食材と、 摂取間隔は、年齢により異なります。
    一般的には、年少児ほど間隔をしっかりとあけて食べる必要があります。 医師や栄養士に、摂取しても大丈夫な食材と摂取間隔を相談して下さい。
  • 野菜、海藻類をしっかりと摂る
    野菜や海藻類の栄養学的な役割として、次の3点をあげる事ができます。
    • ビタミン・ミネラル類が豊富に含まれている
      除去食療法を実施している時には、栄養摂取の面での偏りが生じていないか、注意する必要があります。 中でも、カルシウムは、除去食療法を実施していない子どもさんにも、不足しがちな栄養素だけに、 十分に摂取できているか特に注意が必要です。 しかし、骨格の成長を考えると、カルシウム摂取量だけに注意を向ける事は、一面的な指導を生む事につながりかねません。 骨格の形成には、カルシウムの他にも、マグネシウム・リン・鉄・亜鉛などのミネラル、ビタミンD・A・C などが必要とされています。 また、日光や、適度な運動も欠かせません。 野菜や海藻類には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているために、 子どもさんにはしっかりと与えたい食材です。
    • 食物繊維が豊富に含まれている
      食物繊維の役割として、次の点をあげる事ができます。
      • カロリーの摂りすぎを防ぐ
      • コレステロールなどの余分な吸収を防ぐ
      • 血糖のコントロールを助ける
      • 腸内細菌叢を改善させる
        腸内細菌叢を整える事は、後で述べるイーストコネクションを防ぎ、消化管免疫の破綻を防ぐ上で重要です。
      • 便通を助ける
        便通を整える事は、不必要な物質の吸収の機会を減らす事ができ、食物アレルギーを起こしにくくします。
    • ω3系列不飽和脂肪酸が豊富に含まれているものが多い
      不飽和脂肪酸の役割については、油脂の項で説明します。
    結論をいえば、野菜や海藻類にはω3系列不飽和脂肪酸が比較的多く含まれているために、身体の過敏性を抑える働きがあります。 しかし、子どもさんは、野菜や海藻類を好まない事が多いため、調理の工夫が必要です。 また、野菜には、仮性アレルゲンと呼ばれる化学物質が多く含まれているために、[かゆみ]や、過敏症状を引き起こす事があります。 ゆがいたあと、水洗をするなどの調理法を用いて、仮性アレルゲンを減らして与えるようにして下さい。 一般的には、この調理行為は、[あくを抜く]と表現されています。
  • 動物性蛋白質は、魚介類を中心に摂る
    子どもの成長には、動物性蛋白質の摂取は欠かす事ができません。 しかし動物性蛋白質は、食物抗原度も高いので、注意して摂る必要があります。 
    卵は、様々な食品に使われている事も多く、無意識のうちに卵蛋白の摂り過ぎになっています。 そのために、卵の摂取はアレルギーの無い場合でも、1~3才までは1回に1/4個まで、 3~4才までは1回に1/2個まで、5才以上は1回に1個までを限度とし、週に2回までにして下さい。
    牛乳も、日本人のカルシウム摂取不足を解消する食材として、多く摂るように強く指導されています。 しかし、お茶代わりに牛乳を摂取する幼児もみられるために、アレルギーの無い場合でも、 一日に 200ccを越えないように注意して下さい。
    牛肉・豚肉・鶏肉は、子どもさんが好んで食べる機会も多い動物性蛋白質ですが、食物抗原度高く、 また含まれている脂肪酸組成も飽和脂肪酸が多く、脂肪酸の融点が高いという性質から考えて、 それぞれ週に1~2回までにして下さい。
    脂身を避け、赤身の部分を中心に選び、しっかりと加熱調理し、できれば脂を落とす調理法を勧めます。
    魚は、ω3系列不飽和脂肪酸を比較的多く含むものが多く、子どもさんにはしっかりと与えたい動物性蛋白質です。 ただ魚介類に食物アレルギーをきたす事も稀ではなく、同じ種類の魚介類は続けて摂らないように注意して下さい。
  • 油脂を摂りすぎないように注意する
    油料理は、カロリーが高くおなかの持ちもよく、独特のうまみがあるために、子どもさんに好まれます。 子どもさんが好きな献立を調べると、フライやハンバーグ・コロッケなどの、油で調理した献立が上位を占めています。
    脂肪が生体内で果たす働きとして、次の項目があげられます。
    • 高エネルギー源となる
    • 細胞膜を作る
    • ホルモン様物質の原材料となる
    • 外からの衝撃から内蔵を守るクッションの働きをする
    • 体温を保つ断熱材の働きをする
    • 神経細胞の絶縁体の働きをする
    • 満腹感を長持ちさせる
    • 油溶性ビタミンの吸収を助ける

    しかし油脂の摂り方が、質量ともに急速に変化した結果、油脂の摂り方と関係する様々な疾患が増加してきました。 油脂のマイナス面と関連した疾患を、次の3点に整理する事ができます。
    • 飽和脂肪酸の摂りすぎと、食物繊維の不足に関連した疾患
    • ω3系列不飽和脂肪酸とω6系列不飽和脂肪酸の摂取バランスの偏りに関連した疾患
    • 脂肪の酸化に関連した疾患

    油脂類は、単位あたりのカロリーが高く、身体が利用するためには強い消化力が要求されます。 同じ食材でも、油脂を使って調理すると、未消化のまま吸収される機会が増えます。
    また、油料理は、カロリーの割に食物繊維の含有が少ないために、しっかりと噛まなくても摂取できるという面から見ても、食物アレルギーの治療・予防には望ましくない献立といえます。
    • 不飽和脂肪酸は、必須脂肪酸として人体には無くてはならない種類の脂質です。
    不飽和脂肪酸は、体内で代謝を受け、プロスタグランディン・トロンボキサン・ ロイコトリエンなどの様々な化学伝達物質を合成する素材に使われます。
    リノール酸に代表されるω6系列不飽和脂肪酸から誘導されるロイコトリエン4は、 2型ヘルパーT細胞(Th2)を刺激し、IgE抗体産生を盛んにする働きを持ちます。
    一方リノレン酸に代表されるω3系列不飽和脂肪酸から誘導される化学伝達物質には、 免疫活性を抑える働きがあるとされています。
    • 酸化された脂肪(過酸化脂質)には、強い細胞毒性があります。
    アトピー性皮膚炎や気管支喘息の発症に、皮膚や粘膜面の細胞障害が大きな役割を演じていると考えられます。 以上の理由から、油脂とつきあうためには、いくつかの注意が必要です。
    • 油脂類を使う献立は、週に1~2回にとどめる
    • 揚げ物の吸油率を抑える
      • 吸油率の大きい素材は避ける:水分含有量が多い素材は、水分と油が入れ替わるために、吸油率が高まる
      • 素材を大振りに切る:細かく切ると、表面積が大きくなり、吸油率が高まる
      • 衣を薄くつける
    • 飽和脂肪酸を多く含む肉類は脂身を避け、煮る・ゆでるなどの調理法を用い、できる限り脂を抜いて食べる
    • 飽和脂肪酸を多く含む油を避ける(牛脂・豚脂・やし油・パーム油など)
    • ω6系列多価不飽和脂肪酸を多く含む油を避ける(サフラワー油・ひまわり油・コーン油・大豆油など)
    • ω3系列多価不飽和脂肪酸を多く含む油を多く摂るようにする(シソ油・アマニ油・魚油など)
    • 不飽和脂肪酸は、酸化しやすいので、加熱する献立には用いないようにする
    • 価不飽和脂肪酸を多く含む油を、揚げ物などに用いるようにする(オリーブ油など)
    • 油を購入する時には、開封後の酸化を避けるために、できる限り少量の容器の商品を購入する
    • 一度加熱調理に用いた油は、二度使いをしないようにする

    油脂類の摂りすぎは、食生活全般のバランスを崩し、身体を過敏にし、[ かゆみ ] を増す役割を演じます。 油脂を使わなくて、子どもさんに喜ばれる献立を工夫して下さい。

  • 砂糖分を摂りすぎないように注意する
    炭水化物は、唾液や腸液の働きで消化され、人の貴重なカロリー源となります。 炭水化物は消化酵素の働きで、ブドウ糖・果糖・ガラクトースなどの単糖類にまで分解され、吸収・利用されます。
    個々の細胞は、主たるエネルギー源としてブドウ糖を利用しています。中でも脳細胞は、利用できるエネルギー源を、 ほとんどブドウ糖に依存しているために、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は、 一日の変動域が一定の範囲内に収まるように、数種類のホルモンで調節され、厳密に管理されています。 この人体に不可欠な単糖類のブドウ糖や、二糖類の砂糖・乳糖も、大量に摂取すると、様々な弊害が生じます。
    • インスリンの過分泌:糖尿病を誘発・反射性低血糖を誘発
    • 腸内細菌叢の悪化  :ウェルシュ菌・カンジダの増殖
    • カルシウムの吸収阻害
    • 空のカロリー:カロリーだけが存在し、他の栄養素が含まれていない 、
    • 虫歯の誘発
    このうち、食物アレルギーの発症と深く関係するのが、イーストコネクションと呼ばれる腸内細菌叢の悪化に基づく、消化管粘膜の破綻です。
    穀物などに含まれているでんぷんは、ブドウ糖などの単糖類が数千~数万個、数珠繋ぎになっているために、 大きな糖の固まりのまま小腸に達し、粘膜の微絨毛間でゆっくりと消化・吸収されるために、 消化管に常在している ウェルシュ菌・カンジダなどは、この炭水化物を有効に利用する事ができません。
    しかし、二糖類の砂糖や単糖類のブドウ糖は、大量に摂取すると、そのままの形で大量に小腸粘膜に達するために、 ウェルシュ菌・カンジダなどが有効利用する事が可能となり、いわゆる悪玉腸内細菌が異常増殖する事になります。
    なかでもカンジダの異常増殖は、イーストコネクションと呼ばれ、食物アレルギーと深く関わっています。
    カンジダの異常増殖により、カンジダ菌糸が消化管粘膜に侵入し、消化管バリアを破綻させて食物抗原の侵入を容易にする事で、 食物アレルギーが成立します。
    他方、カンジダの持つ毒素により、消化管免疫の失調が惹起され、抵抗力が減弱するために、 食物抗原に対するアレルギー反応がおこり、食物アレルギーが成立します。
    1日の砂糖の摂取限界量は、子どもさんで10g以下、大人で20g以下とされています。 通常の薄味の食生活では、この摂取限界量を遵守する事は可能です。
    しかし、子どもさんの食生活のなかで、大きな位置を占めているお菓子やジュースを無批判に与えていると、 すぐに 10gを越えてしまう事になります。 特にジュース類は100%果汁と表示されていても、カンジダの栄養源となる砂糖や果糖を多く含み、 食物アレルギーを治療していく上での、大きな足かせとなります。
    食物アレルギーを治療する前提として、ジュースや砂糖菓子(飴・チョコレートなど)は与えないようにして下さい。
    また子どもさんは、甘さを一度覚えると、その味から抜け出せなくなりがちです。 離乳期から、ジュースを与えないなど、甘さに慣らさない育て方を心がけて下さい。
  • 手作りを心がける
    加工食品は、味や見栄えもよく、子どもさんに喜ばれます。また調理時間も短く、長期間の保存に耐えるために、 現代の食生活には、欠かす事のできない食品になりました。 しかし、食物アレルギーを治療していく上で、加工食品にはいくつかのマイナス面が見受けられます。
    • 表示成分以外の食物抗原が、混入している可能性がある
    • 食物繊維が少なく、油脂の摂りすぎにつながる食品が多く見受けられる
    • 食品添加物の害が考えられる
    加工食品に微量に含まれている食物抗原が原因で、即時型食物アレルギー反応をきたす事は稀ではありません。 除去食療法を実施している時には、身体の反応がかえって過敏になっている時期があります。 この時期には、常識では考えられないような微量な食物抗原との接触で、激しいアレルギー反応が起こります。
    その摂取蛋白量は、おおよそマイクログラム(1gの100万分の1)のオーダーではないかと考えられています。 残念ながら、今の我が国の食品業界では、微量な食物抗原の混入までも避ける事ができるだけの、 安全な食品生産システム・品質管理を行っているメーカーは限られています。 除去食療法を実施している時には、原則として加工食品を摂らないように指導しています。 加工食品は、おいしさと食べやすさを追求して生産される事が多く、その結果、 低食物繊維・高脂肪食品になる 傾向にあります。
    前述のように、基本食の原則にはずれる食品が多いように思われます。色素や防腐剤などの食品添加物が、食物アレルギーにどのように関わるのかは、良くわかっていません。
    保存や流通を考えると加工食品は、食中毒や変質を避けるために、添加物を使う事がむしろ自然な食品です。 家庭で、その時間に食べきる献立には使わなくてもよい薬品(化学物質)が使われます。 手間と時間がかかりますが、家族での健康的な食生活を築いていくために、安全な食材選びから始め、 手作りを心がけて下さい。

除去食療法について

Q1.除去食とはなんですか?

答え

食物アレルギーの原因となる食物(食物抗原)を、完全に除去する食事療法です。
食物抗原を除去する事で、消化管粘膜の場で生じているアレルギー性炎症を抑え、消化管透過性亢進を改善させ、 子どもさんの消化管機能や免疫機能を修復する事を通じて、食物に基づく免疫失調状態を改善させる治療です。

Q2.除去食療法は、何を目指して行うのですか?

答え

除去食療法は、食生活を見直す指導の延長線上にある治療法です。 しかし、除去食療法を続ける上で、栄養の問題・ストレスの問題など、 様々な難しい問題が生じます。 そのために、除去食療法は漫然と行うのではなく、目標をはっきりとさせて実施する必要があります。 除去食療法の目標は、次の2つに分ける事ができます。

  • 短期目標:アレルギー症状の緩和(アレルギーが原因で生じている症状を改善する)
    食物アレルギーをもつ人は、アレルギーの原因となる食物(食物抗原)を摂取する事で、 身体のあらゆる場所に、いろいろな症状が出現します。
    除去食療法は、食物抗原を食事から完全に除去する事で、 アレルギー症状を改善する事を目標にしています。
  • 長期目標:免疫学的寛容の誘導(何でも食べる事ができる身体を作る)
    食物抗原を摂取する事で、消化管の場でアレルギー性炎症が起きます。 その結果、消化管バリアは破壊され、消化管透過性が亢進し、食物抗原の更なる侵入を容易にするという、 悪循環が成立します。
    その結果、消化管免疫や全身の免疫システムが過敏になり、免疫失調状態が亢進します。 除去食療法は、食物抗原を一定期間完全に除去する事で、消化管のアレルギー性炎症を鎮め、 消化管バリアを修復し、免疫失調状態を改善させる事を目標にしています。

Q3.除去食療法をする事で、何でも食べられるようになるのですね?

答え

乳幼児期に食物アレルギーをもっていた子どもさんも、多くの場合、 自然にアレルギーを起こしていた食物を受け入れる事ができるようになります。
食物アレルギーの免疫学的寛容は、除去食療法をしなくても、年齢が大きくなるにつれて自然に誘導される場合が多いようです。
しかし、除去食療法を実施する事ではじめて消化管の炎症が改善し、 その結果、免疫学的寛容が誘導される子どもたちも少なくありません。
ただ誰もが、何でも食べられる身体(免疫学的寛容の成立)になる訳ではありません。 大きくなっても、これだけは苦手だという特定の食物が残る事もあります。

Q4.除去食療法を続ける上での、見通しを教えてください

答え

除去食療法は、栄養的にも精神的にも、ストレスの大きい治療法なので、 いつまで続けるのかという見通しをもって続ける事が大切です。
除去食療法は、次の3つの時期に分ける事ができます。 除去食療法の時期をとらえる事で、今行っている治療の見通しを持ちやすくなります。

  • 除去導入期:
    消化管で進行しているアレルギー性炎症の結果、消化管バリアが破綻し、更に食物アレルギー感作が進行するという悪循環を断ち切るために、 食物抗原が完全に消化管に入らないようにする時期です。
    食物抗原を完全に除去する事で、免疫失調状態はかえって過敏なる傾向があります。 重症タイプの食物アレルギー反応を避けるためにも、この時期は、微量な食物抗原の混入にも注意する必要があります。 通常2~4週間が、この期間にあたります。
  • 除去維持期:
    食物抗原を完全に除去する事で、消化管機能の未熟さや免疫失調状態を改善させ、 子どもさんの健やかな成長・発育を成し遂げていく時期です。
    微量な食物抗原との接触を避けるために、卵・牛乳・ 小麦そのものを家庭の中に持ち込まないという家族ぐるみの協力が必要です。 また、除去を続けながら、十分な栄養が摂れているかどうか、定期的な確認が必要です。
    栄養価計算や、栄養検査、アレルギー検査が必要になります。 通常1~3年が、この期間にあたります。
  • 除去解除期:
    除去していた食物を再摂取し、食事の面からも集団生活に復帰する時期です。 解除の時期を決めるために、定期的なアレルギー検査や「解除のための食物負荷試験」が必要です。
    「解除のための食物負荷試験」の結果、重症タイプのアレルギー症状が出現しなかった場合、ゆっくりと除去食物の再摂取を始めていきます。 再摂取を始めた後も、食物負荷日誌の記載や、定期的なアレルギー検査が必要です。 通常3ヶ月~数年が、この期間にあたります。

Q5.除去食療法には、どのようなマイナス面があるのですか?

答え

毎日の食事は、人が生きていくために必要な身体の栄養摂取の役割だけではなく、 心の栄養としても大切なものです。 それまでごく普通の食生活を送ってきた子どもさんが、除去食療法を始める事で、 様々な問題が生じる可能性があります。
除去食療法のマイナス面を、次のように整理する事ができます。

(1)栄養面 栄養摂取の面での偏りが生じやすくなる。
(2)経済面 食材への出費がかさむ。
(3)心理面 親子ともに、長期間の緊張状態に置かれる。
(4)社会面 他児と同じ社会生活を経験することが困難になる。
(おやつ、外食や旅行、集団給食への参加など)
(5)医学面 思わぬ事故(食物アナフィラキシーなど)につながる恐れがある。

これらのマイナス面をカバーするための指導法が工夫されています。 しかし、食物アレルギーの治療として、除去食療法を選ばれる時には、マイナス面も十分に考慮して、決められる事が大切です。

Q6.家庭で除去食療法を続けていく上で、何に注意をすればよいのですか?

答え

除去食療法を続けていく上で生じるマイナス面をカバーするために、次の点に注意する事が大切です。

  • 必ず医師・栄養士の指導のもとに行う。
    医師の役割として、次の事があげられます。
    • 正確な食物アレルギーの診断を行い、診断に基づいて除去食療法を指導する。
    • 去食解除が可能になったと判断した時には、安全を確かめながら目の前で「解除のための食物負荷試験」を行い、解除を進めていく。
    • 子どもの成長・発達全体をみていく。
    栄養士の役割として、次の事があげられます。
    • 微量な食物抗原の混入を避けるために、食品成分内容の情報を提供する。
    • 安全な食材の購入先、献立法など、具体的に指導する。
    • 除去食療法を続けながら、十分な栄養が摂れているかどうかについて、栄養面からの健康管理をする。
    微量な食物抗原の混入を避けるために、食品成分内容の情報を提供する。 安全な食材の購入先、献立法など、具体的に指導する。 除去食療法を続けながら、十分な栄養が摂れているかどうかについて、栄養面からの健康管理をする。 これらの役割は、お母さんや、食物アレルギー児の親の会だけでは担う事はできません。 除去食療法は、一人一人、除去する食品の種類も、厳格さも違います。 先輩のお母さんの経験が、その子どもさんの治療には、役立たない事があります。 反対に、善意からの助言であっても、自分の子どもさんの経験が、 周りの子どもさんには危険な結果を招く事もあります。 除去食療法は、必ず医師や栄養士などの専門家と協力して、行うようにして下さい。
  • 除去食療法の目標をはっきりとさせておく。
    除去食療法には、(1) アレルギー症状の緩和・(2) 免疫学的寛容の誘導という2つの目標があります。 症状の緩和を図るための除去食療法のレベルと、免疫学的寛容の誘導を図るための除去食療法のレベルとでは、 厳格さが異なります。症状の緩和を図る除去食療法レベルでは、 微量な食物抗原の混入を防ぐ事ができず、免疫学的刺激が持続し、 食物アレルギー感作を改善できない事があります。 その結果、免疫学的寛容が誘導できず、いつまでも除去食療法を続ける事になりかねません。 反対に、症状の再現を恐れるあまり、除去解除をためらう傾向もみられます。 除去食療法は、一定期間厳格に食物抗原を除去する事を通して、普通の食生活を送る事ができる体質に作り変える事を目指す治療法です。 可能な時期が来れば、「解除のための食物負荷試験」を行い、除去食療法の解除を行う事が大切です。
  • 除去する食材は、きっちりと除去する。食べられる食材は、きっちりと食べる。
    除去食療法は、食材選択の制約が加わるために、栄養摂取の面での偏りが生じやすくなる傾向があります。 除去する必要のある食材は、微量な混入程度まで完全に除去する事が大切です。しかし、除去する必要のない食材は、しっかりと摂取したいものです。しっかりと食べる事を通じて、体力や免疫力をつけていくように注意して下さい。
  • 同じ食材を続けて食べないようにする。
    除去食療法を実施しなければならない子どもさんでは、食べても大丈夫な食材の種類が限られるために、 どうしても同じ食材を繰り返し食べる機会が多くなります。 食物アレルギーは、同じ種類の蛋白質が続いて身体に入ってきた時に、成立しやすくなります。 穀類や野菜などは、2~3日は同じ食材が続いても大丈夫な場合が多いのですが、魚や肉類は、 短期間のうちに繰り返し同じ食材を摂取しない事が原則です。 しかし、食材の選択に制約が加わる除去食療法の場合、季節によっては同じ食材が続く事があります。 繰り返しを避けるためには、いろいろな野菜や魚などの食材を、積極的に摂取し、 大丈夫と考えられる食材を増やしていく努力を積み重ねる事が大切です。 新しい食材を家庭で食べさせる事が心配な場合には、主治医の目の前で試してもよいか、お願いしてみて下さい。
  • 栄養面のバランスに注意する。
    除去食療法を行っていると、食べても大丈夫な食材の種類が限られてしまいます。 その上、子どもさんが好む献立と、お母さんが食べさせたいと考える献立とが異なる事があります。 十分に注意をしていても、子どもさんに必要な栄養が、偏りがちになる傾向があります。 子どもさんの栄養摂取量が心配な時には、食物生活日誌をきっちりと記載した上で、栄養士さんに栄養価計算を依頼してみて下さい。 子どもさんの現在の栄養評価の資料をもとに、食生活のどこを改善すればよいのか、具体的に指導を受けられる事が大切です。
  • 健康的な生活を送るための基本的な食事の摂り方(基本食)を実践する。
    砂糖や油脂類を摂りすぎないように注意をする基本食には、消化管を安定させ、食物に基づく身体の過敏状態を改善させる働きがあります。 除去食療法の効果をあげるためにも、基本食を実践する事が大切です。
  • 食事以外のアレルゲンにも注意する。
    乳幼児期は、食物に含まれている食物抗原の影響を強く受け、食物アレルギーが成立しやすい時期です。 年齢が大きくなるにつれて、室内のダニやペットの毛などの吸入抗原の影響を強く受けます。 また直接、抗原としては認識されないまでも、食品や飲料水に含まれる添加物やダイオキシンなどの化学物質も、子どもの身体を過敏にする危険性があります。 室内喫煙や大気汚染なども、子どもさんにはマイナスの影響を与えます。 子どもさんにとって望ましくない環境因子を、一つ一つ取り除いていく努力をされる事が大切です。

食物アレルギーをもつ子どもさんの離乳食について

Q1.アレルギーハイリスク児とは、どのような子どもたちをさすのですか?

答え

アレルギーの病気は、誰にでも現れるわけではありません。その子どもさんがご両親からいただいたその子らしさ(遺伝情報)と、その子どもさんが生まれ育った環境の組み合わせによって、アレルギーの病気へのなりやすさが決まります。
この遺伝情報には、他の子どもさんに比べてアレルギーの病気のなりやすいという遺伝情報も含まれています。今のところ、遺伝子診断の技術を用いても、具体的なアレルギー遺伝子は解明されていません。
そこで、統計的な技法を用いて、アレルギーの病気になりやすい子どもたちを見つける研究がすすみました。

  • 二親等以内にアレルギーの人がいる子どもさん
    特にご両親や兄弟に、アレルギーの病気がある子どもさん
  • 生後すぐに調べられたIgEの値が高い子どもさん
    臍帯血のIgE値 0.5 IU/ml 以上の子どもさん
    生後6かヶ月の IgE値 5.0 IU/ml 以上の子どもさん
    生後12かヶ月の IgE値 10.0 IU/ml 以上の子どもさん
  • 生後早くから、アトピー性皮膚炎が現れている子どもさん

このようなグループに当てはまる子どもたちは、アレルギーの病気になる可能性が統計的に高いと言われています。 このようにアレルギー遺伝情報を多く受け継いでいる子どもたちを、アレルギーハイリスク児と呼ぶ事にします。遺伝情報は、今のところ変えるわけにはいきませんが、子どもさんが生まれ育つ環境は、よい方向に変える事ができます。
ここでは、離乳食に絞って、アレルギーになりにくい食事についての説明をします。

Q2.離乳とは、どういう言葉ですか?

答え

離乳とは、「母乳や人工乳だけの栄養から、乳汁以外の食物へと移行すること」と定義されています。
乳児期のあとも乳製品をふんだんに使う欧米では、本来の意味での離乳=断乳は一生涯実現することがないので、離 乳食という言葉ではなく、移行食という言葉が用いられています。
一方、乳製品になじみの少なかった時代の日本では、離乳食とは言葉通りお乳から離れるために準備された食事でした。しかし、食習慣の欧米化とともに、離乳期のあとも乳製品を摂る習慣が一般化したため、離乳食という言葉は本来の意味を離れて移行食という考え方に変わりつつあります。

Q3.離乳食には、どのような目的があるのですか?

答え

離乳食には次のような目的があります。

  • 栄養的側面
    • 母乳や人工乳では不十分な栄養素の補給
    • 消化酵素活性の発達に見合った食物摂取への橋渡し
  • 顎機能の発達的側面
    • 咀嚼能力や嚥下能力の発達促進
    • 構音機能獲得の促進
  • 精神発達的側面
    • 豊かで安定した母子関係の確立
    • 生活リズムの確立
  • 文化的側面
    • その国、その家庭の食文化へのいざない

このうち、栄養面・精神面の役割が大きいといえます。特に「離乳食はこころの栄養」という言葉があるように、はじめの頃は食べる食品も量も少ないのですが、それでもまわりの大好きな人と同じようなことがしたいという、あかちゃん自身の気持ちを大切にしてあげて下さい。
離乳期は、子どもさんの側からみると、新しい食品や食器を次々と経験し、受け入れていく楽しみな時期です。お母さん側からみると、子どもさんを新しい食環境に慣らしていく根気のいる時期です。お互いに努力の必要な時期なので、あせらずに、ゆったりと進めていきましょう。

Q4.アレルギーハイリスク児に離乳食を与える時に、何に注意すればよいのですか?

答え

アレルギーハイリスク児の離乳食を考えるときに、いつから何を始めていけばよいのか、何は与えない方がよいのかなど、心配な問題が残ります。
アレルギーハイリスク児の離乳食の問題を、次の4点に整理し、説明を加えたいと思います。

  • 果汁の与え方
  • 離乳食の開始時期
  • 離乳食の進め方
  • 食材の選び方

Q5.離乳食を始める前に、湯冷ましや果汁を与えると聞いたのですが?

答え

乳汁以外に果汁などの液体成分を与えることを、離乳準備といいます。これは離乳食には含みません。
湯冷ましや果汁は、次の目的で与えられてます。

  • 暑い時に水分を補給する。
  • お乳以外の味に慣らし、味覚を発達させる。
  • 果汁を与えることで、ビタミンCを補うことができる。
  • 口の中を清潔にする。

しかし、アレルギーハイリスク児には、果汁や湯ざましは与えない方が良いと思います。
離乳食の準備として、4~5か月になれば、野菜スープから始めましょう。

Q6.なぜ湯冷ましや果汁を与えないほうが良いのですか?

答え
  • 水分補給の目的は、初期の頃に開発された育児粉乳が、高蛋白質・高ミネラルだったために、腎臓に負担がかかりました。そのために、水分を補給して、尿をでやすくする必要がありました。現在の育児粉乳では、母乳に近い低蛋白質、低ミネラルのタイプに改良され、腎臓への負担もなくなりました。授乳期には、ふつうお乳(母乳でも人工乳でも)で十分な水分はとれています。むしろ、湯ざましや果汁で、水分を多く与えると胃液の酸度( pH )がアルカリ側に傾くために、胃液の消化酵素の働きが弱まり、その結果未消化なミルクが小腸に届くために、食物アレルギーが成立しやすくなると考えられています。
    汗をかき、水分補給が必要な時には、ほうじ茶や番茶などの刺激の少ないお茶を飲ませてあげて下さい。
  • 味覚の発達は、母乳栄養の場合、母乳を摂るだけでも十分に発達すると考えられます。
    母乳は、お母さんが食べたものによって成分が変わります。吸いはじめと、おしまいの頃との母乳では、味も成分も微妙に違います。 また初期乳と成熟乳とでは、栄養成分や免疫成分などに、大きな違いがあることが分かってきました。
    このような母乳の微妙な変化を、あかちゃんは味わっています。 このことがあかちゃんの味覚の発達の手助けとなっています。
    果汁の強い味や、市販の果汁に含まれている甘みは、かえってあかちゃんの微妙な味覚の発達を損なうことになりかねません。
    人工乳の場合には、この微妙な味わいを経験する事ができませんが、離乳期まで急がなくても良いと思います。
  • 果汁を与えることで、ビタミンCを補うことができる。
    母乳がでない場合、歴史的には牛乳や山羊の乳を加熱して殺菌し、あかちゃんに与えていました。 そのときに、ビタミンCが壊れてしまいました。また、初期の頃に開発された育児粉乳も、ビタミンCが足りなかったために、果汁でビタミンCを補うことが強調されて、果汁を与えることが育児の常識となったそうです。
    現在では、育児粉乳も改良され、ビタミンCが不足する事はなくなりました。 母乳の場合には、もともとビタミンCが豊富に含まれていますので、果汁で補う必要はないと思います。
  • 口の中を清潔にする。
    以前に市販されていた育児粉乳は、糖質の濃度が高く、口の中を清潔にする目的で、湯冷ましを飲ませることが勧められていました。 現在の育児粉乳では、湯冷ましを飲ませる必要はありません。
    離乳食が進み、食事のあとで水分をほしがるようであれば、ほうじ茶や番茶などの刺激の少ないお茶を飲ませてあげて下さい。

Q7.なぜ果汁はあまり良くないのですか?

答え

あかちゃんに果汁を与えない方がよい理由として、次の3点が考えられます。

  • 果物の安全性
    果物がアレルギーの原因になることがあります。 特に、オレンジ・グレープフルーツなどの柑橘類やキウイ・バナナ・パイナップルなどのトロピカルフルーツが、アレルギー症状を起こしやすいようです。 その結果、口の中が痛くなったり、唇が腫れ上がったり、喘息発作をきたすこともあります。
    また、柑橘類や、トロピカルフルーツには、仮性アレルゲンとよばれる化学物質(セロトニン・ヒスタミンなど)が多く含まれ、アレルギー反応によく似た症状を引き起こします。
    さらに、輸入果実の場合、防腐剤として使われる農薬やワックスの問題があります。消化管や免疫系が未熟な乳児期前期に、アレルギーを引き起こし、消化管に炎症を引き起こす危険性のあるものは、なるべく口にしないことが大切だと思います。
  • 果物の甘み
    果物は、その香りや甘み、好ましい食感のために、多くの世代に好まれています。 お母さんにとっても、あかちゃんが好むことだし、身体にも良さそうなので、つい求めるだけ与えがちです。
    しかし、果物に含まれている甘み(果糖)には、ブドウ糖と同じように、腸内の細菌を良くない方向へと変える働きがあります。
  • 果汁の与え方
    果物をそのまま食べているうちは良いのですが、果汁の形にすると、食べられないほどの果物の量を、一度に摂る ことになります。(コップ一杯のジュースは、その7倍位の量の果物を食べたことと同じといわれています)年齢が大きくなると、果汁は子どもさんの大好きな飲み物になります。お母さんも「100%果汁なら安全だし、栄養もあるのではないか」とつい与えすぎてしまいがちになります。
    しかし、果汁100%と表示されている場合でも、市販のジュースには、ブドウ糖が添加されている場合が多く、この場合、果糖とブドウ糖の二重の意味で、糖分の摂り過ぎになります。
    果汁を与える場合には、手づくりの果汁を、それも量を考えて与えてほしいと思います。

Q8.離乳食はいつ頃から与え始めたらよいのですか?

答え

離乳食の開始時期を考えるときに、アレルギーの側面に焦点を当てると、なるべく遅い時期が望まれます。
1993年 Aggettらは、生後4~6ヶ月間の完全母乳哺育とともに離乳食の導入を遅らせる事により、アレルギーハイ リスク児の12~36ヶ月までのアレルギー疾患及び、牛乳による消化器症状の発症率を低減化できると述べています。
私達も、次に述べるアレルギーハイリスク児のための離乳食案に基づき指導したところ、アトピー性皮膚炎の皮膚症 状の著明な改善をみました。 しかし<Q3:離乳食を与える目的>のところでも説明しましたが、顎機能の発達や精神発達の側面から考えると、離乳食の開始を遅らせすぎる事にも問題が残ります。
早過ぎもせず、遅くなり過ぎもしない離乳食の開始時期は、次の3点を考慮して決める必要があります。

  • 月齢・体重の目安
    歴史的にみると、1900年~1935年には6か月頃が離乳食の開始時期とされていましたが、1937年頃から3~4か月と早期に離乳食を開始する事が勧められました。その結果、腎臓に過度の負担がかかる事がわかり、アレルギー疾患も起こりやすくなる事がわかりました。 そのために、1980年以降、離乳食開始の推奨月令は、4~6か月に戻された経緯があります。 体重は、6Kgを越えた頃が、目安にされています。
  • 消化・吸収の発達
    子どもの消化機能の発達は、医学的にもよくわかっていない分野です。デンプンの消化酵素の発達は、生後4か月から始まると考えられています。1歳半には、ほぼ大人の80%の消化機能を持つと考えられます。
  • あかちゃん自身の要求
    健康な発達をしているあかちゃんは、離乳食をただ受け身で、いただいている訳ではありません。4か月を過ぎる頃から、お父さんやお母さんが食事をしている時に、その口元をじっと見つめて、あかちゃん自身も少し口元を動かし始めることがあるでしょう。 「お母さん、わたしにも分けてください」と、まだ言葉で伝えられない気持ちを口元の動きに託しているようです。

以上の点を考慮すると、4か月半を過ぎて体重も6Kgを越えた頃、大人と同じことがしたいという気持ちが食事に寄せられる時期が、離乳食を始める頃かと考えています。

アレルギーをもつ子どもさんへの予防接種について

Q1.予防接種は、受けた方がよいのですか?

答え

予防接種には、利点のほかに注意すべき点もあります。

(1)利点 子どもの感染症を予防する・感染症の合併症を予防する。
(2)注意点 予防接種そのものによる副反応がおきる恐れがある。
予防接種による疑似感染では、十分に免疫力がつきにくい。 そのために、子どもさんが成長してから、軽く罹ることがある。
また、女児が成長して出産したときに、その子どもさん(孫)が十分な移行抗体を受け継ぎにくい。

新しい予防接種法では、利点と注意点の両方を考慮した上で、保護者の方が接種するかどうかを決める事になっています。

Q2.予防接種を受けずに病気になった時、どのような合併症があるのですか?

答え

子どもさんが感染症に罹った時に、発熱・発疹・リンパ節腫脹などの急性期の症状のほかに、次のような合併症が起きる場合があります。

(1)ポリオ まれに 小児マヒ(1/1000~2000人
(2)結核 多い 肺結核 、結核性髄膜炎、粟粒結核
(3)麻疹(はしか) 多い 肺炎、中耳炎
まれに 脳炎(1/2000~3000人)
ごくまれに 亜急性硬化性全脳炎(SSPE 1/10万人)
(4)百日咳 多い 無呼吸発作(乳児期前半では咳のために息を吸うことができなくなる)
少ない 肺炎
まれに 脳炎
(5)風疹
(三日ばしか)
多い 先天風疹症候群(妊娠中に母親が罹った時に、胎児に異常がおこる)
まれに 血小板減少性紫斑病(1/3000人)
脳炎(1/5000人)
(6)水痘
(みずぼうそう)
多い 肺炎(成人では、20~30%)
まれに 免疫不全の小児が罹ると致命的
(7)流行性耳下腺炎
(おたふくかぜ)
多い 睾丸炎、副睾丸炎(思春期以後では、15~35%) 、 無菌性髄膜炎(10%)、膵炎(6%)
まれに 難聴(1/10000~20000人)
(8)日本脳炎 多い 急性脳炎(致死率 30~40%)
(9)インフルエンザ 多い 肺炎
まれに 脳炎

感染症の合併症の怖さを考えると、予防接種は受けた方がよいと思われます。

Q3.予防接種には、どのような副反応があるのですか?

答え

予防接種には、次のような副反応が起きる事があります。

  • 即時型局所反応
    予防接種施行後、5~10分ほどで、注射局所が赤くはれたり(発赤腫脹)、水ぶくれができたり(水疱形成)する事があります。 多くの場合、1~2時間ほどでおさまります。
  • 即時型全身反応
    ごくまれに、予防接種施行後、数分以内にアナフィラキシーショックがおこる事があります。 アナフィラキシーショックの症状は、その人により程度が違います。一般的には次の症状が急速に進みます。
    • 気分が悪くなり、立っている事ができない。
    • 顔色が悪くなり、くちびるが紫色になる。
    • そして、意識が低下し、けいれんする。
    アナフィラキシーショックがおきた時に備えて、予防接種施行後少なくとも30分は、病院内に留まるようにして下さい。
  • 遅発遅延型局所反応
    予防接種後、数日以内に注射局所が発赤腫脹したり、水疱形成します。 発赤腫脹が数㎝の場合はあまり心配ありませんが、5㎝を越えるような場合や水疱形成する場合には、接種医に相談し、診察を受けるようにして下さい。
  • 遅発遅延型全身反応
    まれに予防接種施行後、数日してから、全身に発疹が現れる事があります。また、気分が悪くなったり、意識が低下したりする事もあります。接種医に相談し、診察を受けるようにして下さい。
  • その他の副反応
    まれに予防接種施行後、数日してから、全身に発疹が現れる事があります。また、気分が悪くなったり、意識が低下したりする事もあります。接種医に相談し、診察を受けるようにして下さい。
    • 発熱、発疹 :麻疹予防接種施行後に多くみられます。
    • 無菌性髄膜炎:おたふくかぜ予防接種施行後、2~3週間してまれにみられます。

Q4.アレルギーをもつ子どもさんは、特に注意が必要なのですか?

答え

アレルギーの子どもさんは、言葉をかえれば、いろいろなものに過敏な体質をもつ子どもさんといえます。
予防接種は、免疫的に考えると、子どもさんの体に強い異物を入れる事にほかなりません。それだけに、アレルギーの子どもさんが予防接種を受ける時には、十分な注意が必要だと考えます。 実際、食物アレルギーの子どもさんは、そうでない子どもさんに比べると、ワクチン液に対して過敏反応を示す率が高い事がわかっています。

Q5.予防接種は、いつ受けたらよいのですか?

答え

予防接種には、安全性と、実際に免疫が獲得される年齢との関係で、標準的な接種時期が定められています。

ポリオ 生後3ヶ月以上の5月と11月(保健所にて)
BCG 生後3ヶ月以上(保健所にて)
麻疹 生後3ヶ月以上(保健所にて)
BCG 生後12ヶ月以上、24ヶ月以下
三種混合 生後3ヶ月以上、12ヶ月以下
風疹 生後12ヶ月以上、36ヶ月以下
水痘 生後12ヶ月以上
ムンプス 生後12ヶ月以上

ポリオ、BCGに続いて、1才までに三種混合ワクチンを始める方法が一般的です。
また体力が低下している季節の接種を避けるために、7月・8月の夏期は、予防接種を中止している医療機関もあります。

Q6.予防接種を受ける時には、何に注意すればよいのですか?

答え
  • 感染症に罹った時に起きるかもしれない合併症を、熟知しておいて下さい。
    それを免れるために開発された予防接種にも、副反応があることを知っておいて下さい。
    その上で、子どもさんに予防接種を受けさせた方が得策かどうかを、保護者の方が判断して下さい。
  • 食物アレルギーのある子どもさんは、副反応がおきる率が高いので、主治医に相談しましょう。
  • 予防接種は、健康な子どもさんに施行するものですから、体調の良い時を選びましょう。 どうしようかと迷うときには、次の機会にされた方が良いと思います。
  • 予防接種を受けさせる時には、申し込み用紙をしっかりと読み、必要な記載をして下さい。
  • 接種後は、薬液を急速に吸収させない方が安全なので、強くもまないで下さい。 接種直後に、主治医が軽くもむようにしていますので、後は針あとからの軽い出血を拭き取る位で良いと思います。
  • 予防接種施行後は、不測の事故に備えて、少なくとも30分は、病院内に留まるようにして下さい。 心配なことが観察された時には、遠慮せずにすぐに診察を受けるようにして下さい。
  • 接種当日の入浴は控える必要はありませんが、軽く汗を流す程度にし、接種部位を強くこすらないで下さい。
  • 接種後1~2日は、激しい運動をさせたり、強い日光に当てるなど、無理をさせないで下さい。
  • 遅れて副反応がおきた時には、接種医に連絡をとり、診察を受けるようにして下さい。

Q7.アレルギーをもつ子どもさんには、どのような手順で接種するのですか?

答え

いたやどクリニック小児科では、次のような手順で、アレルギーをもつ子どもさんに、予防接種を実施しています。

  • 問診表の記入
    予防接種当日の体温、体調、便の状態などを具体的に記載していただきます。
  • 診察
    予防接種当日の体調を調べるために、診察を行います。
  • 皮内テストの実施
    アレルギーのある子どもには、原則として1/10ワクチン液を用いた皮内テストを実施します。 同時にコントロールとして生食を皮内注射します。
  • 判定
    皮内テストの後、15分後に判定します。
  • ワクチン接種量
    判定の結果、陰性の場合には、通常量を接種します。
  • 予防接種施行後の観察
    疑陽性・陽性者に減量接種した場合、15分後,30分後の診察を行います。 診察室の近くで待機していただいています。
  • 陽性者に対しては、減量接種施行8週間後に、抗体獲得を調べるための血液検査を行います。

いたやどクリニック

copyright© itayado-clinic. All Rights Reserved.