いたやどクリニックは神戸市長田区にあり、小児アレルギー・内視鏡検査・在宅医療を特色としています。

いたやどクリニック|神戸医療生協協同組合

アレルギーQ&A

乳幼児期のアトピー性皮膚炎について

Q1.アトピー性皮膚炎は、どういう病気ですか?

答え

アトピー性皮膚炎は、皮膚症状の特徴から、名付けられた病名です。
「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。
もう少し整理すると、
(1)繰り返し傾向のある、(2)掻痒感が強い、(3)アトピー体質のある、(4)湿疹病変といえます。
この特徴のうち、[かゆみ]は,アトピー性皮膚炎の症状の中心をなすものです。[かゆみ] のために、子どもさんは [掻く] 行為を繰り返し、特徴的な皮膚症状が作られていきます。 [かゆみ] こそ、アトピー性皮膚炎の特徴的な皮膚症状を形作る原動力といえます。

Q2.[かゆみ]って、何ですか?

答え

[かゆみ] は、皮膚の表面に分布する知覚神経が刺激されて起こります。 知覚神経が刺激を受けると、刺激が軽い時には[かゆみ]として感じます。[かゆみ] を感じると、子どもさんはその部分を手や足を使って[掻く]行為をします。[掻く] ことで、皮膚の表面に付いている異物を、取り除こうと試みるわけです。
知覚神経への刺激がより強い時には、[痛み] として感じます。 [痛み] を感じると、子どもさんはその部分を手や足を使って保護しようとします。
このように、[かゆみ] や [痛み] を感じて、[掻く] 行為や保護行為をする事は、自分の身体を守るための生理的な反応(防御反応)といえます。

Q3.[かゆみ] を引き起こす刺激には、どういうものがありますか?

答え

皮膚の表面にある知覚神経は、物理的刺激・化学的刺激・生物学的刺激により、身体の外部から常に刺激を受けています。 また、アレルギーの患者さんでは、アレルギーを引き起こす環境刺激により、身体の内部から刺激を受けています。
知覚神経に[かゆみ]刺激与える原因について、整理します。

  • 皮膚表面からの刺激
    物理的刺激・機械刺激 肌着・砂・圧迫・こすれ・擦り傷など
    温熱刺激 熱さ・冷たさ・火傷・しもやけなど
    外気刺激 紫外線・風など
    化学的刺激・生理的刺激 汗・汚れなど
    外用剤 軟膏・湿布など
    生物学的刺激 ダニ・カビ・細菌・ウィルスなど
  • アレルギーを引き起こす環境刺激(抗原):ダニ・カビ・花粉・食物 など
  • [かゆみ]を増幅させる精神的な刺激:ストレス など

これらの[かゆみ] 刺激は、アトピー性皮膚炎を発症させ、増悪させる主要な原因となります。

Q4.皮膚に[かゆみ]を引き起こす、皮膚表面からの刺激について、詳しく教えてください。

答え

アトピー性皮膚炎の子どもさんは、生まれながら皮膚の生理的な機能に弱さをもっています。 健康な肌をもつ人では考えられないような、わずかな皮膚刺激を敏感に受け取って、[かゆみ] と感じます。 ここでは、皮膚表面からの [かゆみ] 刺激について、大切だと思われる順に、詳しく説明します。

  • 汗・汚れ
    皮膚への刺激のうち、最も重要なものは汗です。汗は塩分濃度が高く、それだけで [かゆみ] を引き起こします。
    また細菌により汗がアンモニアに分解されると、皮膚のpHをアルカリ側に傾けて、皮膚の生理的防御能を低下させ、様々な刺激物質の侵入を容易にします。
    その結果、皮膚刺激に対して敏感になり、[かゆみ]を感じやすくなります。
  • 皮膚表面の感染
    皮膚感染症は知覚神経を刺激し、激烈な[かゆみ]を引き起こします。[かゆみ]のために[掻く]行為を繰り返し、掻くことで皮膚を傷付け、ますます細菌繁殖に良い条件を作るという、悪循環が成立します。
    皮膚表面の感染症として、ブドウ球菌などの細菌感染が最も多くみられます。 その他にも、ヘルペスなどのウィルス感染や、カンジダなどの真菌感染も、よく経験します。
    • ダニ
      ダニは、皮膚の毛穴や角質層の損傷部位から皮膚内に侵入し、アレルギー性炎症を起こし、激烈な[かゆみ]を引き起こします。
    • 生活用品
      石鹸やシャンプー、洗剤、化粧品などの生活用品は、皮膚バリアを障害し、[かゆみ]を引き起こします。 特に、顔から首にかけてのアトピー性皮膚炎は、シャンプーが皮膚に合わないのではないかと考えて下さい。
      また、洗濯に用いる洗剤は、界面活性剤の少ないものを選ぶようにして下さい。
    • 肌着
      肌着は、直接皮膚に触れるので、材質が皮膚に合わないと、アトピー性皮膚炎が悪化する事があります。 また、洗濯の仕方も大きく影響します。
      肌着だけではなく、パジャマやオムツにも注意が必要です。

    • 砂遊びは、子どもさんが大好きな遊びの一つです。 しかし、砂は、皮膚を直接傷つけ、[かゆみ] を引き起こします。 また、砂の中に含まれている金属や動物の毛で、アレルギー性炎症が起きる事もあります。
    • 直射日光
      直射日光も、紫外線による炎症を起こし、[かゆみ]を引き起こします。 また、皮膚免疫能を低下させ、皮膚感染症を助長させます。雪による紫外線反射にも注意が必要です。

Q5.アレルギーを引き起こす環境刺激について、詳しく教えてください

答え

アレルギーを引き起こす環境刺激は、次の2点に整理することができます。
1. アレルギーの原因となる刺激(アレルゲン)
2. 身体を過敏な状態にし、アレルギー感作を成立させやすくする刺激

I:アレルギーの原因となる環境刺激(アレルゲン)

  • ダニ・カビなどの微生物
    ダニやカビは、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の主要な原因となります。 ダニアレルギーは、呼吸とともに気管に吸い込まれ、気管支喘息の主要な原因となります。 また皮膚面からも直接侵入し、アレルギー性炎症を起こし、アトピー性皮膚炎の原因となります。
    アレルギーになりやすいという遺伝情報をもつ子どもさんでは、早ければ生後6か月で、ふつう2歳頃にはダニに対するアレルギー感作が成立します。
  • ペット
    ペットのふけや排泄物は、子どもさんのアレルギー疾患の大きな原因となります。 アレルギー感作が成立する年齢を考えると、ダニよりも早い年齢から、アレルギーの原因となる事も少なくありません。
    直接皮膚に反応してアトピー性皮膚炎を悪化させたり、気管から吸い込まれ気管支喘息の原因となります。
    ペットを飼うのをやめても、3~6か月の間は影響が残るといわれるほど、アレルギーを引き起こす強い力をもっています。 また、ペットのふけや排泄物は、ダニのエサにもなり、結果的に室内のダニを増加させます。 家庭で飼っていなくても、実家や、よく遊びに行く家庭の室内でペットを飼っている場合には、注意が必要です。
  • 食物
    食物は、出生直後から体内に大量に摂り入れる物質なので、異物として認識される機会も多く、アレルギーの原因となります。
    母乳栄養児では、お母さんが食べる食物蛋白が母乳中に分泌され、子どもさんの食物アレルギーの原因となります。 人工栄養児では、ミルクに含まれている牛乳蛋白や大豆蛋白などが食物アレルギーの原因となります。
    離乳食が始まると、様々な食物蛋白が子どもさんに取り込まれ、食物アレルギーの原因となります。 乳幼児期は、消化機能も弱く、消化管も未熟なために、食物アレルギーが成立しやすい時期です。
    年齢が大きくなると、消化機能や消化管免疫が発達し、食物アレルギーは少なくなります。
    しかし、成人になっても、消化機能や消化管免疫が低下すると、食物アレルギーが成立します。
  • 花粉などの植物
    毎年春になると、花粉症が話題になります。
    杉花粉が増加した原因として、様々な説がありますが、花粉は、本来、人には無害なものです。 無害な花粉を外敵と見なして、アレルギー反応を起こす過敏な体質の広がりこそが、花粉症を増加させている原因だと考えています。
    花粉症の季節には、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患も悪化する事があります。
    花粉症のために、目が痒くなり、涙が出て目をこする結果、目の周りのアトピー性皮膚炎が悪化する子どもさんも少なくありません。 また室内観葉植物は、果物アレルギーを起こしたり、室内のカビを増加させ、環境を悪化させます。

II:身体を過敏な状態にする環境刺激

  • 喫煙
    喫煙は、吸っている本人の健康に良くないだけではなく、まわりで生活する人の健康を損なう事がわかってきました。
    タバコの煙自身には、アレルギー感作を起こす力はないとされています。 しかし、タール分などが気道内に付着し、気管支喘息などの気道系アレルギーの成立を助長します。
    特に乳幼児などの気道系が未熟なものほど、喫煙の影響を強く受けます。 その結果、アレルギーになりやすいという遺伝情報をもつアトピー性皮膚炎の子どもさんでは、家族の誰かが室内で喫煙していると、気管支喘息になる危険性が4~8倍にもなるといわれています。
    風邪を引きやすい、風邪を引くといつまでも咳が残る、このような症状のある子どもさんは、気道系が弱く、過敏になっていると考えて良いでしょう。
  • 食品中の化学物質(食品添加物・仮性アレルゲン)
    食品を加工したり、流通させたりするために、多くの食品添加物が使われています。
    食品添加物の中には、摂取するとすぐにアレルギー反応と同じような過敏反応を起こすものもありますが、大部分の添加物では症状はすぐには現れません。
    ダニや食物・喫煙・ペットに比べると、一人の子どもさんの体に与える影響力は未知数ですが、食事を摂る度に体内に入り、一生涯影響を与えるものだけに、体の中にできる限り摂り入れたくないものです。
    食物の中には、ヒスタミンなどの[かゆみ]を引き起こす化学物質(仮性アレルゲン)を、大量に含んでいるものがあります。調理方法によっては、アレルギー症状が悪化する事があるので、注意が必要です。
  • 金属
    歯科の治療に用いられる充填剤に含まれている金属、砂場の砂・食物中に含まれている金属、ピアス・時計のバンド・ベルトなどの生活用品に含まれている金属に対して、 身体が過敏に反応する事があります。
    また、金属のある種のものは、身体の免疫機能を失調させ、アレルギー体質になりやすくする事もあります。
  • 室内化学物質
    最近の省エネ住宅は、冷暖房効率を上げるために高度に気密化し、自然換気率が以前の住宅の数分の一にまで減少しています。 その結果、ホルムアルデヒドなどの室内の揮発性有機化合物(VOC)による、化学物質過敏症が増えています。
    室内の揮発性有機化合物の主な発生源は、壁紙・フローリングの板・新しい家具・それに接着剤です。 特に新築の家屋に引っ越しをした時や、リフォームを行った時には、室内の揮発性有機化合物濃度が高くなっているために、短期間に大量の揮発性有機化合物の影響を受ける事になります。
    化学物質過敏症は、疲れやイライラなどの精神症状のほかに、体を過敏にするために、アレルギー感作を成立させ、アレルギー症状を悪化させます。シロアリ駆除の薬品や、除草剤の使用にも注意が必要です。
  • 屋外化学物質
    • 水質汚染
      水は、食物や空気とともに、人が生きていくために必要な基本的な物質です。 体の小さな子どもさんほど体重あたりの必要水分量も多く、水質の影響を大きく受けると考えられます。
      また、水は入浴や洗顔の機会に、直接肌に触れる物質ですから、水質はアトピー性皮膚炎の子どもさんには、大きな影響を及ぼします。
    • 大気汚染
      気管支喘息は、大気汚染と強い関連性があります。
      工業地帯や交通量の多い道路沿いの住民の気管支喘息の有病率は、そうでない地域の住民に比べると、明らかに高いという統計が出されています。
      毎日呼吸する空気を通じて体が過敏になるために、気管支喘息だけではなく、花粉症などの他のアレルギー疾患も多くなるといわれています。
    • 土壌汚染
      植物は、土壌や水質の影響を強く受けています。植物を食べて成長する魚や動物は、餌や水質の影響を強く受けています。 そのため、私たちが食物に供する野菜・穀類・魚・肉は、生産地や生産の方法で、栄養価や安全性が大きく違ってきます。
      ゴミ処理の過程で発生するダイオキシンなどの化学物質は、人の免疫系に強く悪影響を与えると言われています。

Q6.[かゆみ]の感じ方は、その時の精神状態によっても、ちがうのですね?

答え

知覚神経の受ける刺激の強さや感じ方は、そのときの体調や心理状態の影響を強く受けます。知覚神経が過敏な状態に陥っていると、汗や温度差、風などのわずかな刺激に対しても、[かゆみ]と感じます。イライラしている時には、皮膚からのわずかな刺激も、強い [かゆみ] として感じられて、我慢できずに強く掻いてしまう。 その結果、皮膚が損傷し、さらに [かゆみ] が増す事になります。
心理的な不安定さは、アトピー性皮膚炎の発症や悪化の重要な鍵になります。 一方、[掻く]行為には、[かゆみ]を取るという目的の他にも、様々な心理的要素が隠されている事があります。
退屈な時に、お母さんの注意を引くために、[掻く] 行為を取る。欲求を上手に処理できない時に、[掻く] 行為を繰り返す事で、自分の身体に対する関心を強め、まわりとの関係を絶ち、自分の殻に閉じこもる。
このように、[掻く] 行為の背景にある精神的な問題にも、目を向ける必要があります。

Q7.アトピー性皮膚炎は、遺伝しやすいと聞いたのですが?

答え

アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、体質が遺伝する疾患と考えられています。
アトピー性皮膚炎では、どのような体質が遺伝するのでしょうか。多くのアトピー性皮膚炎の子どもさんを診察していますと、アトピー性皮膚炎では、次の2つの体質が遺伝すると考えられます。
(1)皮膚の生理的な機能が弱い体質(臓器過敏性)
(2)アレルギーになりやすい体質 (IgE抗体の過剰産生)
しかし、この2つの体質が、どの遺伝子により受け継がれていくのかは、現在では不明です。

Q8.皮膚の生理的な機能が弱い体質について、もう少し詳しく説明してください。

答え

健康な人の皮膚には、次のような生理機能が備わっています。

1.皮膚の保湿能   皮膚表面からの水分の蒸発を防ぎ、皮膚をしっとりさせる力
2.皮膚の感染防御能 皮膚表面で細菌感染やウイルス感染が起こらないように防御する力
3.皮膚の損傷修復能 傷ついた皮膚をもとに戻す力

アトピー性皮膚炎の子どもさんは、生来、このような皮膚の機能に、弱さがみられます。

  • 皮膚の保湿能の弱さ
    人を含めて陸上動物は、その昔、水中動物から進化してきたと考えられています。陸上にあがると、そこは水中とは違い乾燥の世界です。そこで乾燥から身体を守るために、皮膚に水分を保つ力(保湿能)が発達してきました。
    皮膚の保湿能は、a)皮脂、b)角質細胞間脂質、c)天然保湿因子で成り立っています。
    • 皮脂は、皮脂腺より分泌される脂質で、皮膚表面を覆う事により、水分の蒸発を防いでいます。
    • 角質細胞間脂質は、表皮細胞が産生するセラミドなどの脂質で、角質層のバリア機能を作っています。
      しかし、アトピー性皮膚炎の皮膚は、表面の角質層が荒く、水分保湿能が劣るために、乾燥肌 (ドライスキン)になりやすくなります。 皮膚表面の湿度は、主に大気中の湿度と発汗によって保たれています。 そのために、大気中の湿度も低く、発汗も少なくなる冬季は、皮膚が特に乾燥しやすくなります。
  • 皮膚の感染防御能の弱さ
    身体のまわりには、細菌やウィルス・カビなどの様々な微生物が取り巻いています。 微生物が、皮膚表面で繁殖し、身体に侵入しないように、皮膚には感染防御能が発達しています。  しかし、アトピー性皮膚炎の子どもさんは、皮膚表面のバリア機能が劣るために、皮膚細菌感染症(とびひ など)、皮膚ウィルス感染症(水いぼ・ヘルペス など)、皮膚真菌感染症などの皮膚の感染症にかかりやすい傾向があります。
    皮膚感染症は知覚神経を刺激し、激烈な[かゆみ]を引き起こします。中でもブドウ球菌が皮膚面に繁殖すると、[かゆみ]は10倍にもなるといわれています。[かゆみ]のために[掻く]行為を繰り返し、掻く事で皮膚を傷付け、細菌繁殖にとって、ますます都合の良い条件が作られます。
    また皮膚感染症は、皮膚の免疫系に働きかけて、多くのアレルギー担当細胞(Tリンパ球)を刺激し、アレルギー的に過敏な状態を作るといわれています。
  • 皮膚の損傷修復能の弱さ
    子どもさんは、生活をしていく中で、いろいろな原因で、皮膚にダメージを受けます。物理的ダメージ(擦り傷・やけど・日焼け・しもやけ など)、化学的ダメージ(石鹸まけ・軟膏かぶれ など)、生物学的ダメージ(虫刺され など)を受けると、その部位から感染しやすくなるために、速やかに皮膚を修復しようとする力が発達しています。
    しかし、アトピー性皮膚炎の皮膚は、ダメージを修復する機能が劣るために、皮膚感染を併発する事が多くなります。

Q9.アレルギーになりやすい体質について、もう少し詳しく説明してください。

答え

アトピー性皮膚炎の子どもさんには、アレルギーになりやすいという全身的な免疫失調が存在する事があります。
アレルギーになりやすい体質は、親から子へと遺伝するといわれています。統計的には、両親に何らかのアレルギーがある場合、子どもさんの約80%にアレルギーが起こります。両親にアレルギー疾患がある子どもさんや、兄弟にアレルギー疾患がみられる子どもさんは、統計的には、アレルギー疾患になる確率が高いといえます。
アレルギーになりやすい体質をもつ子どもさんが、環境から過剰な刺激を受けると、アレルギー感作が成立し、アレルギー症状が発症します。
アレルギー感作を引き起こす原因(アレルゲン)として、食物・ダニ・カビ・花粉・動物の毛などが、代表的なものです。皮膚機能の弱い子どもさんに、アレルギー感作が成立すると、アレルギーに基づくアトピー性皮膚炎が起きやすくなります。
気管の弱い子どもさんに、アレルギー感作が成立すると、アレルギーに基づく気管支喘息が起きやすくなります。目や鼻の粘膜の弱い子どもさんに、アレルギー感作が成立すると、アレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎(花粉症)が起きやすくなります。 

Q10.アトピー性皮膚炎の治療について説明してください。

答え

アトピー性皮膚炎の治療の基本は、[かゆみ]を抑え、[かゆみ]と[掻く]行為の悪循環を断ち切る事です。
[かゆみ]を抑える一番の早道は、強力な抗炎症剤=ステロイド外用薬を使う事だといわれています。
しかし、手軽に[かゆみ]を抑える治療を求める前に、なぜ[かゆみ]が起きるのかについて考えて下さい。
現在の医学では、アトピー性皮膚炎の子どもさんが受け継いでいる

  • 皮膚の生理的な機能が弱い体質
  • アレルギーになりやすい体質

そのものを治療する事はできません。
しかし、[かゆみ]を引き起こし、[かゆみ]を感じやすくさせている原因を調べ、取り除く事は可能です。

  • 皮膚に[かゆみ]を引き起こす刺激
  • アレルギーを引き起こす環境刺激
  • [かゆみ]を増幅させる精神的な刺激

を、 一つ一つ丹念に取り除き、[かゆみ]そのものが起こらないようにする 事ができれば、皮膚炎症状も落ち着きます。
さらに、健康な皮膚機能を取り戻す治療(スキンケア)を気長に続けていく事で、アトピー性皮膚炎は良くなっていくと考えています。
残念ながら、[かゆみ]を起こす原因の組み合わせは、一人一人違います。簡単なスキンケアだけで軽快する人もいれば、考えられるすべての事に注意をし尽くしても良くならない人もいます。
環境から受けるいろいろな刺激に対して、必要以上に神経質になり、子どもさんやお母さん自身が大きなストレスを受けてしまっては良くありません。アトピー性皮膚炎の原因を大きく眺めて、必要な治療を専門医と相談しながら進めていく事が大切です。
ここでは、アトピー性皮膚炎の治療を、次の5点にまとめて説明します。

  • しっかりとしたスキンケア
  • 十分な環境整備
  • 安定した精神生活
  • 必要最小限の食事療法
  • 治療の助けとしての薬物療法

Q11.スキンケアの目的は何ですか?

答え

スキンケアは、健康な皮膚機能を取り戻す治療です。 ここでは、スキンケアを、次の4点にまとめて説明します。

  • 皮膚表面に受けた損傷を回復させるスキンケア
  • 皮膚表面の感染を治療し予防するスキンケア
  • 皮膚表面への刺激を少なくするスキンケア
  • 皮膚の生理的な機能を維持・増進させるスキンケア

Q12.皮膚表面に受けた損傷を回復させるスキンケアについて、説明してください。

答え

[掻く]行為を繰り返すなかで、皮膚のバリア機能がダメージを受けると、 感染防御能が弱まり、細菌感染やウイルス感染が起きやすくなります。 皮膚に感染症が合併すると、さらに[かゆみ]が強まります。
[掻く] 行為と [かゆみ] との悪循環は、アトピー性皮膚炎をさらに悪化させます。 そのために、皮膚バリア機能のダメージは、できる限り速やかに回復させる事が大切です。
皮膚表面に受けた損傷を回復させるために、ステロイド外用剤は最も効果的な治療手段です。 ステロイド外用剤は、感染症による炎症であれ、アレルギー性炎症であれ、炎症を強く抑える働きがあります。 しかし、ステロイド外用剤を長期に使用すると、皮膚表面の免疫を失調させ、さらに過敏な皮膚を作ります。 また、ステロイド外用剤そのものによる接触性皮膚炎を起こす事も稀ではありません。
ステロイド外用剤を効果的に使用するためには、次の点に注意する事が大切です。
(1)ステロイド外用剤を使用する量と期間を、使用を始める時にあらかじめ決めておく。
(2)ステロイド外用剤だけに頼るのではなく、基本的な治療法を実践する。

Q13.皮膚面の感染を治療し、予防するスキンケアについて、説明してください。

答え

皮膚感染症は知覚神経を刺激し、激烈な[かゆみ]を引き起こします。 [掻く] 行為は、 皮膚感染防御能をさらに破綻させ、皮膚感染症を助長させます。
難治性のアトピー性皮膚炎では、殆どの場合、皮膚感染症が合併していると考えています。 皮膚感染症の治療としては、
(1)超酸性水による消毒
(2)抗生物質含有外用剤の塗布
(3)抗生物質の内服
などがあります。
それぞれ治療上の特徴や、適応・副反応・使用上の注意点があるので、主治医と相談のうえ行うようにして下さい。

Q14.皮膚表面への刺激を少なくするスキンケアについて、説明してください。

答え

皮膚表面への刺激を少なくする事は、[かゆみ]が起こらないようにするうえで重要です。

  • 汗、汚れ
    汗を長く留めておかない事は、アトピー性皮膚炎のスキンケアの出発点です。 成人に比べると、子どもさんは発汗量が多いので、特に注意が必要です。 夏期は、行水などを含めて一日3~4回は汗を落としましょう。 冬期でも、毎日の入浴は必要です。入浴後の保湿軟膏の塗布も忘れないで下さい。
  • ダニ
    生きたダニが、皮膚に直接接触しないように環境を整える事は、アトピー性皮膚炎を治療するうえで重要です。 寝具や床面などに、特に注意を払うようにして下さい。
  • 生活用品
    石鹸・シャンプー・化粧品などの生活用品は、敏感肌の人のために開発されたものをお勧めします。
  • 肌着
    直接皮膚に触れる肌着やパジャマは、木綿や綿製品をお勧めします。 洗濯には、合成洗剤・柔軟剤・漂白剤を使わない方が無難だと考えます。
  • 砂遊び
    夏期は、水遊びを中心とし、砂に触れさせない方が良いでしょう。 どうしても、砂遊びがしたい時には、あらかじめ手足に保湿軟膏を塗り、 長袖・長ズボン・手袋・靴下を着用した完全武装スタイルで出かけ、帰宅後はすぐに入浴させ、 保湿軟膏を塗ったうえで、着替えさせて下さい。
  • 直射日光
    海などで直射日光に当たる機会のある時は、帽子や長袖Tシャツなどで、顔や身体を保護して下さい。 日光が強い時間帯では、波や砂浜からの反射光で障害を受ける事があるので、注意が必要です。 低刺激のサンスクリーン(SPF値の低い製品)の使用も、効果的です。

Q15.皮膚の生理的な機能を維持・増進させるスキンケアについて、説明してください。

答え

アトピー性皮膚炎の皮膚は、急性期の皮膚の炎症が落ち着いた後も、角質層の水分保持機能が劣り、 ドライスキンの状態が続きます。そのために、わずかな刺激で、アトピー性皮膚炎が再発します。
アトピー性皮膚炎が落ち着いた後も、皮膚の生理的な機能を維持・増進させるスキンケアを、 気長に続ける事が大切です。

  • 入浴
    体温より少し高め(37~38℃)のぬるめのお湯に、30分以上ゆったりとつかるようにしましょう。 ドライスキンの人も、お湯の中では、しっかりと皮膚に水分を保持できます。
    石鹸を手に塗り、皮膚の表面の汚れだけを優しく落とす事。タオルは使わない方が良いでしょう。 汚れのひどくない部位は、お湯だけで洗うようにして下さい。
  • 入浴剤
    炭酸が含まれていないタイプの入浴剤の使用は、皮膚の水分保持を高めて効果的です。 漢方薬を煎じた入浴剤も、よく使われています。
  • 保湿系外用剤
    皮脂の不足を補うために、保湿系外用剤を塗る事は効果的です。
    ただ、アトピー性皮膚炎の皮膚は、健康な皮膚に比べて乾燥しやすいために、入浴後5~10分ほどで、 入浴前の乾燥状態に戻ります。湯舟からあがった後は、できる限り早い時間に保湿系外用剤を塗るようにして下さい。脱衣場に出る前に、浴室内の洗い場で軟膏を塗ると、効果的です。

Q16.環境を整えるうえで、何に注意すればよいのですか?

答え

私たちを取り巻く環境の中から、健康に良くないと考えられる刺激を取り除く事は大切です。 良くない環境刺激により身体が過敏となり、免疫失調に陥ると、アレルギー疾患の他にも、 自己免疫疾患や、悪性新生物(ガンなど)に罹りやすくなります。

  • ダニ・カビなどの微生物
    ダニは、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の主要な原因となります。 生きたダニは、皮膚の毛穴や角質層の損傷部位から皮膚内に侵入して、アレルギー性炎症を起こし、 激烈な [かゆみ]を引き起こします。しかし、生きたダニには一定の重量があるので、 気管支の奧まで吸い込まれる事はなく、直接気管支喘息の原因にはなりません。
    一方、ダニの排泄物や、ダニの死虫体は、細かくて軽いために、容易に気管支の奧まで吸い込まれて、 気管支喘息を引き起こす強いアレルゲンとなります。アトピー性皮膚炎だけでなく、気管支喘息などのアレルギー疾患の予防や治療を考えると、 生きたダニだけではなく、ダニの排泄物や、ダニの死虫体を除去する対策が重要となります。
    ダニは、
    • 適度な湿度と温度が保たれている場所
    • エサになるホコリがある場所
    • 卵を産むために潜り込めるフカフカとした場所で繁殖します。
    ダニの繁殖に適した場所は、人間にとって住み心地の良い場所といえます。 そのためにダニを完全に減らす事は容易ではありません。 ダニアレルギーを本気で治すためには、住み心地を二の次にして、健康的な住まいを優先する事も必要です。
    防ダニ対策のポイントは、部屋の床面と、寝具です。 敷きつめの絨毯やカーペットは、 ダニの繁殖にとって好都合です。しかし昔の建て方と違い、風通しの悪い床面に敷かれた畳も、 ダニの繁殖を助けます。板の間やコルク床など、ダニが潜り込んで繁殖できない床面が理想です。 部屋の全てをフローリングにできない場合でも、居間や子どもの寝室はフローリングにしたいものです。 寝具は、人が長時間をその中で過ごす、身近な環境です。 天日干しや掃除機かけなどの日常の管理が大切な事は、 いうまでもありません。また、ダニの排泄物や、ダニの死虫体を完全に除去するためには、 洗えるタイプの布団を購入し、定期的にダニを洗い流してしまう事もよい方法です。安全な防ダニ布団や、 高密度繊維で作られたシーツを用いる事も効果的です。
    カビも、アレルギー疾患の主要な原因となります。夏期は、エアコンの中のカビに注意して下さい。冬季は、結露管理が大切です。(除湿器を使う。加湿器は使わない)
  • ペット
    いぬ・ねこなどのペットとのおつきあいは、心の癒やしにつながる側面があります。 そのために、一概にペットの飼育を否定する訳ではありません。しかし、ペットの毛やフケがもつアレルギーは、 生まれてすぐの子どもさんを過敏にする、主要なアレルゲンとなります。その後のアレルギーマーチの出発となります。
    一度、ペットアレルギーが成立すると、アトピー性皮膚炎が悪化し、気管支喘息発作が起きるなど、 心身共に疲労につながる環境刺激となります。
    ペットを飼育する時には、できる限り室内に入れない事。定期的に入浴させる事などの注意が必要です。
    子どもさんが小さい時や、アレルギー体質が強い人は、はじめからペットを飼わない方が良いでしょう。
  • 食物
    アレルギーになりやすい子どもさんは、授乳中の母親の食事・ミルクの選択・離乳食などについて、注意が必要です。 また、離乳食の問題だけではなく、離乳食の完成期の目標となる大人の食生活も、 現代では高動物性蛋白質食・高脂肪食・低繊維食に片寄る傾向にあります。
    大人自身の食生活も、健康的なものに変えていく必要があります。 加工食品に頼る食生活を改めて、できる限り手作りを心がけ、不必要な食品添加物を避けるようにしましょう。
    仮性アレルゲンを多く含む食品の調理方法や、摂取量にも注意して下さい。
  • 喫煙
    喫煙は、吸っている本人やまわりで生活する人の健康にとり、「百害有って一利無し」というべきものです。 禁煙が一番の解決法ですが、それが無理な場合には、次の点は最低限守るという心がけをお願いします。
    a)室内で喫煙しないようにする。
    b)公共の場でも、乳幼児や妊婦の近くでは吸わないようにする。 
  • 花粉などの植物
    花粉症の季節に外出した時は、帰宅後は、すぐに洗顔するようにしましょう。
    寝具の天日干しは、花粉症の季節にはお勧めできません。この季節は布団乾燥機をうまく使いましょう。 もし、天日干しをする時には、取り入れたらすぐに掃除機をかけて、花粉を吸い取って下さい。
    観葉植物は、果物アレルギーを起こしたり、室内の湿度を高めてカビを増やす事があるので、 室内で育てない方が良いでしょう。
  • 金属
    金属による過敏症を合併している場合には、歯科の治療を見直して下さい。 また、身につける生活用品の金属にも注意しましょう。
  • 室内化学物質
    新築の家屋に引っ越しをする時や、リフォームを行う時には、壁紙・フローリングの板・ 接着剤に揮発性有機化合物(VOC)が少ない建材を選択するように、建築施工業者と相談して下さい。 また、適度な自然換気率が保てる工夫も必要です。 転居後は、できる限り窓を開けて、十分な換気を試みる事が大切です。
    それでも、化学物質過敏症が疑われる症状が続く時には、 揮発性有機化合物を吸着させるタイプの空気清浄機の使用を勧めます。
  • 屋外化学物質
    水質汚染・大気汚染・土壌汚染など環境汚染は、アレルギー疾患だけではなく、 悪性新生物(ガン)や不妊症が増加するなど、私たちの健康や、私たちの子孫に関わる大きな問題です。
    環境汚染は、すぐには解決できない問題ですが、無関心ではいられません。

Q17.心理面で注意する点を教えてください

答え

アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患は、身体だけではなく、精神にもダメージを与えます。 その結果、精神的に不安定な状態が続き、さらに [かゆみ] を強く感じやすくなります。 また、アトピー性皮膚炎の治療は、生活の場や食事面などで制約が多くなるために、その事がストレスの原因にもなります。自分の身体に対する関心が強くなり、まわりとの関係を絶ち、自分の殻に閉じこもる傾向もみられます。
安定した精神生活を送るためには、まわりの人の温かい支えが必要です。アトピー性皮膚炎の子どもさんを精神的に支える出発点は、子どもさんのつらさへの共感を持つ事です。
[かゆみ] は、昼夜を問わずにおそってくるものだけに、生活のリズムを乱します。 眠れない・食べれないなど、その苦痛は想像を超えるものがあります。そのために、全身倦怠・頭痛・肩こりなど、多くの不定愁訴を合併してきます。
精神的にも、無気力・集中できないなどの不安定さを伴う事が多く、ひいては人間関係に支障をきたす事もあります。この状態から抜け出るために、何をしたら良いのか、本人にもわからない事さえあります。皮膚の[かゆみ]にとどまらない、全身のつらさへの共感を、まわりの大人がもつ事が大切です。
アトピー性皮膚炎は、病気が外観から判断できるだけに、年長児になると他者から指摘され、大なり小なり 【心のきず】 を受けています。「きたない・うつる・ちかよらないで」などの言葉できずつき、友人関係でうまくいかなくなったり、不登校につながる事も少なくありません。「かわいそうね」という安易な同情は、アトピー性皮膚炎の子どもさんの人格を低める事にもつながります。
「頑張っているんだね」という、子どもさんの努力への共感がなにより大切です。アトピー性皮膚炎の子どもさんも、まわりの大人も、この治りにくい病気と、どのようにおつきあいしていけば良いのか考えていきましょう。
皮膚の状態が極端に悪くなり、心身ともに安静が保てない時には、一時的にステロイド外用剤を十分に使用したり、入院治療する事で、心身をゆっくりと休める機会を持つ事も必要です。

Q18.アトピー性皮膚炎の食事療法について、教えてください。

答え

アトピー性皮膚炎に対する食事療法は、次の2つの指導に整理する事ができます。
(1)基本食指導(健康的な生活を送るための基本的な食事の摂り方)
(2)除去食療法(食物アレルギーに基づくアトピー性皮膚炎の場合)
食事療法は、母児ともに、大きなストレスを与える事があるので、実施に当たっては、十分な配慮が必要です。
食事療法について、詳しくお知りになりたい方は、【除去食療法について】をお読み下さい。

Q19.アトピー性皮膚炎に使われる薬には、どのようなものがありますか?

答え

アトピー性皮膚炎の薬物療法としては、次のものがあります。
(1)外用剤:ステロイド外用剤・非ステロイド外用剤・消毒剤
(2)内服剤:抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤・ビタミン剤・亜鉛製剤・抗生物質・抗真菌剤・漢方薬
このうち外用剤は、アトピー性皮膚炎の薬物治療の中心的な役割を演じています。外用剤の他にも、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が良く使われています。皮膚や全身の状態が非常に悪化している時には、薬物療法を他の治療の助けとして使用すると効果的な事があります。

Q20.ステロイド外用療法と、どのようにつきあえばよいのですか?

答え

アトピー性皮膚炎の治療を説明する時に、「先生はステロイド外用剤を使う立場なのですか、使わない立場なのですか」といった二者択一的な質問を受ける事があります。 しかし、このような質問にお答えする事には、無理があります。
ステロイド外用剤には、他の薬物療法にはみられない強い抗炎症作用があります。急性期の皮膚病変には、ステロイド外用剤の積極的な使用が必要な場合があります。
しかし、急性期の皮膚病変といえども、ステロイド外用剤のみに頼る治療法には限界を感じます。ステロイド外用剤以外の抗炎症療法を組み合わせて、速やかに急性期の皮膚病変の改善を図る事が大切です。
それとともに、なぜ[かゆみ]が生じ、皮膚炎症が生じるのかについて、あらゆる角度から検討し、可能な限り原因除去を行う中で、急性期の皮膚病変の治療効果も上がり、また再び悪化する機会も減じる事ができると考えています。
一方、非急性期の皮膚病変は、生活指導(生活改善・環境整備・ストレスケア)を基本にすえて指導を行い、子ども さんの過敏性の改善を図り、悪化する機会を減らす事が大切です。

Q21.抗アレルギー剤は、どのような場合に使われるのですか?

答え

抗アレルギー剤は、次の条件を満たす時に、使われています。
(1)ごく軽症例に対して、除去食物療法を行わずに抗アレルギー剤を投与して治療する。
(2)重症例に対して、除去食物療法や、環境整備を行いながら、治療効果を高めるために投与する。
(3)原因食物抗原が多岐にわたるなどの理由で、完全除去が困難な時に投与する。 
(4)アレルギーマーチの進行阻止を期待して投与する。

Q22.抗アレルギー剤を服用するとき、何を知っておけば良いのですか?

答え

抗アレルギー剤は、子どもさんのQOL(生活の質)を高めるために、使われています。 その場合最低限、次の要点だけは把握しておいて下さい。
(1)今使っている薬の名前を知っておく。
(2)薬の効用と、副作用を知っておく。
(3)どのように服用すれば良いのかを知っておく。
(4)何を目的に服用し始めたのかを知っておく。
(5)いつまで服用する予定なのかを知っておく。

Q23.抗アレルギー剤を服用するとき、何に注意すれば良いのですか?

答え

多くの抗アレルギー剤は、消化管から吸収されて全身に運ばれ、各臓器に作用して効果をあげます。アトピー性皮膚炎の場合、吸収された抗アレルギー剤は、皮膚表面近くにある肥満細胞に働いて、化学伝達物質が遊 離するのを抑制したり、遊離された化学伝達物質の作用を抑えたりして効果をあげます。そのためには、ある程度の期間、必要な量を飲み続けて、初めて十分な血液中の濃度が得られ、薬としての作用を得 る事ができます。不規則に服用したり、自分の判断で量を少なくして服用すると、十分な効果を期待できません。
食物アレルギーに使われるDSCG剤(インタール内服薬)は、消化管の局所に作用し、消化管でのアレルギー性炎症を 阻止します。そのために、食物が吸収される時に、消化管粘膜に十分な薬剤量があれば効果を発揮すると考えられています。 食物の吸収は、主に小腸で行われるので、食前15~30分に服用して、あらかじめ小腸粘膜にインタールが先回 りしている必要があります。また、広い面積の消化管粘膜をカバーするためには、消化管に広がりやすいように、お白湯で溶かして飲む必要があります。

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